電子レンジにアース線を付ける場所がないので、そのまま放置するのは割とどこの家庭や賃貸でもよくある事です。
果たして電子レンジのアース線をつけないとどうなるのでしょうか?アース線の付け方は床に垂らすのが正解?
電子レンジには物を温める為に必要なマイクロ波を発生させるために超高電圧が生成されていますので、家庭で使用する電化製品の中で最も感電リスクの高い物の一つである事は事実です。
アース線や漏電遮断器を付けずに内部回路がショートすると、流れる電流も大きいため死亡事故につながりやすいのです。
アース線を床に垂らすのも一見正解の様ですが、正しくありません。
こんな疑問を電気電子工学の専門家である筆者が、アース線をつけないで大丈夫なのか?付け方はどうやるのか電子レンジのアース線に関する知恵袋を解説します。
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アース線をつける場所がない!電子レンジはそのままで大丈夫?知恵袋ポイント
- アース線をつける場所がないなら電子レンジには漏電遮断器を付けるべき!高電圧が流れているので、そのまま床に垂らす・つけないのは危険!
- 賃貸契約でアース線が無いなら、事故防止の為にオーナーと交渉すれば大丈夫かもしれない。
- アースが無い場合の代用品は漏電遮断器をコンセントに取り付ければOK!漏電を検知して瞬時に漏電をストップしてくれる漏電の強い味方。
電子レンジは最も感電しやすい電化製品!アース線が無いとどうなる?
電子レンジにアース線が無い場合は、電子レンジ自体の動作に支障はないので大丈夫ですが、アース線をそのままにしておくと漏電した時に感電します。
こちらの記事では電子レンジから異音がした場合の対処方法や漏電との見極め方法について詳しく解説しておりますのでご覧ください。
詳しくは上記の記事で解説しているので、この章では記事の内容を要約すると、電子レンジにはマイクロ波という水分を振動させて、そのエネルギーでモノを温める為の強力な電磁波が発生しています。
この電磁波であるマイクロ波を発生させるには、マグネトロンという電子部品を動作させる必要があるのですが、このマグネトロンを動作させるには約1.5kV近い高電圧が必要になります。
この1.5kVという超高電圧は、電線が接触していなくても空中で放電するレベルの電圧ですので、もし何らかの理由で電子レンジに不具合が起こった場合に、高電圧が電子レンジの躯体に流れる可能性も無視できません。
電子レンジがアース線に接続されていれば、漏電した電気は人体を経由せず地中に流れると同時にブレーカーがOFFしますが、使用しないのは勿論床に垂らしたままだとその効果を十分に発揮できません。
私の様に静岡県川根本町が住まいの場合、電力会社は中部電力になりますので、中部電力さんの感電防止に関する有益な記事を紹介します。
アースに関する事もしっかり書かれておりますので、この記事と併せて感電事故防止の参考にすると良いでしょう。
アース線を電子レンジにつける場所がない時の代用!そのままは危険!
『電子レンジは最も感電しやすい電化製品!アース線が無いとどうなる?』の章ではアース線がない場合の漏電事故の危険性について解説しましたが、電子レンジにアース線を取り付ける場所が無い時はどうすれば良いのでしょうか?
結論からお話しすると、漏電遮断器を電子レンジのプラグと壁のコンセントとの間に取り付ければ良いのです。
世の中の記事を拝見すると、『漏電遮断器を取り付けても感電防止には意味がない』と明らかにSEO目的でAIにより生成された間違えた情報も配信されていますが、何の根拠もない情報ですので間違えた情報は鵜呑みにしないよに!『アース線が無い場合は漏電遮断器を付けてください』。
折角ですので、ブレーカーや漏電遮断器について少しお話しします。
家庭の電気の事を調べて居たり、電気工事士の資格を取得する時に必ず出てくるのがブレーカーや漏電遮断器です。
どちらも電源をカットするという目的は同じですが、仕組み『動作原理』が全然違います。
詳しくは沢山のサイトで解説されている為概要だけお話しします。
漏電遮断器は電流の差を検出して感電を防止する
ちょっと専門的な電気の話になってしまいすが、回路を電流という流れてみた場合、電流は行きと帰りで差が0です。
漏電すると、電子レンジ側(この場合負荷)で電流が漏れている為、電流が行きと帰りで差が生じます。
この差を検出して定格である30mA以上の差を検出して瞬時に回路を遮断します。
漏電遮断器には、漏電した事を検出する飛び出しボタンがあります(大体黄色だったか?)ので、このボタンが飛び出した状態でトリップした場合は、単にスイッチをONに戻すだけではダメで、漏電の原因の特定が必要です。
普通のブレーカーは短絡と過電流を検知して回路を遮断する
ブレーカーと漏電遮断器と両方の機能を持ったものが漏電ブレーカーというものもありますが、この見出しではブレーカーの機能単体の場合でのお話です。
回路の短絡とはどのような状態化を説明すると、例えばむき出しのコンセントの端子両方を接触させたような状態です。
もっと分かりやすく説明すると、小さいころ必ずクラスに一人は金属製のピンセットやクリップをまげてコンセントに差しむ人が居るかと思いますw←この状態になると短絡と同じ状態なのでブレーカーが落ちます。
また、上記とほぼ同じような事が回路内部で起こっているのがショートで負荷に過電流が流れる状態と言えます。
アース線の付け方は床に垂らすの?賃貸の場合は大丈夫?
ある意味正解のようで間違えた方法が、賃貸などでアース線が無い場合に床に垂らすといった方法です。
アース線を床に垂らす方法について解説する前に絶対にやってはいけないアース線の施工方法についてお話しします。
以下の方法でアース線を接続すると、感電だけでは済まない爆発事故につながる可能性が十分あり、禁止されています。
ガスの配管にアース線を接続する行為は絶対にNG。水道管もシンクでガス管の接続部分と繋がっている可能性があるのでNG。
アース線を付けるには基本的には電気工事士の免許が必要で、専門の測定機器(絶縁抵抗計)が無いと、十分にアース線の能力が発揮できているか分からない。
ちょっと考えれば分かりますが、ガスって火花で付けますよね?ガスの配管はいくら金属で地中に埋まっているからと言って、ガス管に漏電した電気を逃がせばどうなるか容易に想像がつくと思います。
先ほど説明した通り、電子レンジは内部で1.5kVの高電圧を発生させており、適当な電極間距離があれば容易にスパークします。
これってつまり、アース線をガス管に繋いだら容易に爆発事故が起きる事がわかりますよね?
アース内蔵の電子レンジは存在するのか:漏電遮断器内蔵の事
電子レンジのアース線について調べていると、『アース内蔵 電子レンジ』というサジェストワードで検索されている方も多いです。
検索ボリュームもそこそこあり、ある程度みんなが知りたい需要のあるキーワードである事がわかりましたので、この辺の『アース内蔵 電子レンジ』という謎について解説します。
『アース内蔵 電子レンジ』という単語から想像すると、おそらく電子レンジにはアース内蔵のタイプと、そうでないタイプの電子レンジがあるか、予め調べてから購入したいといったユーザーの意図が隠れているのかなとも感じます。
サポートでんきを利用して住宅電気設備のメンテナンス:サポートでんき誤解のないように解説しておきますが、電子レンジにアース内蔵製品があるとかないとかそういう事や製品はありえません。
全ての電子レンジにアース線は絶対に必要な機能だからです。
また、電子レンジには漏電遮断器が内蔵のタイプは現在販売されていない様です。
全ての家庭が問題なくアース線を電子レンジに取りけられる状態でないことを鑑みると、これほど危険な高電圧を発生させる装置ですし、事故防止の観点からメーカーも漏電遮断器や漏電ブレーカーが内蔵のタイプの製品を販売しても良いような気もしますが、世の中には存在しません。
従って同じことをもう一度書くと、電子レンジをアース線に取り付けられない場合は、漏電遮断機を別個で用意して取り付けると安全に使用できます。
但し、電子レンジはワット数が高いので、容量の低い漏電遮断器を選んでしまうと、これまた加熱して火災の原因になりかねないので注意が必要です。
アース線をつける場所がない!電子レンジはそのままで大丈夫?知恵袋まとめ
アース線をつける場所がないので、電子レンジをそのまま使用しても、電子レンジの機能自体は大丈夫で動作に影響はありません。
しかし、なんらかの原因で漏電した時のことを考えると、漏電した電気は人体を通して地中に流れるしかないので、感電事故につながる大変な問題であることが分かります。
アース線を付ける場所がない賃貸の住宅などは、漏電遮断器を購入して取り付けると安心して電子レンジを使用する事が出来ます。
アース線が無いからと言ってDIYでのセルフ工事は危険で、電気工事士の免許が必要なのは勿論ですが、アース線がちゃんと機能しているかは高価な絶縁抵抗計が必要です。
アース線を取り付けるのにやってはいけない配線が、ガス管や水道管に取り付ける行為で、大変危険で大事故につながる可能性を秘めているので絶対にやめましょう。
また、『アース内蔵 電子レンジ』というそこそこ需要のあるワードについては、このようなアース線を基準にした電子レンジが販売されているわけではありません。
アース線は内部で高電圧を発生させている為、万が一に漏電した時には必ずアース線は必要な機能だからです。
今回は電子レンジとアース線にまつわる知恵袋についてお話ししました。
もし、電子レンジのアース線や電気設備にお困りでしたらサポート電気などを利用してみるのも良いかもしれません→
サポートでんき
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