電解コンデンサーはショートしたり、過電圧破壊が起こると爆発する危険性があります。
コンデンサーは電子機器の中で最も劣化や故障が多く、電子機器の動作不良の原因となる事が多い部品です。
今回の記事では、電解コンデンサー・セラミックコンデンサーがショートしたり劣化するとなぜ爆発するのか、原因や故障の調べ方、劣化診断の方法について解説します。
この記事はあくまで学術的なコンデンサーの過電圧破壊(爆発)現象を解説したもので、コンデンサーを意図的にショートさせたり、爆発させる事を推奨するものではありません。
同様の実験を行う場合は、周囲の安全に注意して行ってください。
学生がコンデンサーの過電圧破壊について行う場合、下記の様に交流の100Vを扱う可能性がありますので、必ず電気工事士の免許を持った先生の監督指導の下、安全に実験を行ってください。
実験を行う際は必ず周知し、全員がゴーグルの着用を行い、目又は体の保護を行う事。
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コンデンサー爆発はなぜ?ショートや劣化原因、過電圧破壊でどうなるポイント
- コンデンサーは2枚の平板を近づけた構造で、ショートしたり劣化する事で過電圧破壊が起こり、大電流が流れ加熱後、内部の電解液に着火し爆発する。
- 内部の電解液がガス化し易い電解コンデンサーには、膨らんだ時の為に爆発しないようにガス抜き穴があるが、それをはるかに超える過電圧を印加した時は爆発する。
- 耐圧は印加電圧より低ければ低い程、爆発する危険性が増す。コンデンサーを選定する時は、必ず使用する回路で耐圧のあるものを選ぶ必要がある。(昇圧回路等は要注意)
コンデンサーはなぜ過電圧破壊で爆発?原因は電解液のガス化で膨らむ
コンデンサーは様々な種類がありますが、その基本的な構造は、電解液の中で平板をギリギリまで近づけたものが電解コンデンサーで、実にシンプルな構造をしています。
中に入っている電解液は、イオンを運ぶ役割があり、コンデンサーの容量拡大の役割を担っています。
ところで、コンデンサーには耐圧というものがあり、印加できる最大の電圧が決まっています。
この定格電圧を超えて使用すると、少ししか流れなかった電流がコンデンサー内に異常に流れ、内部が発熱し、コンデンサーの中に入っている電解液がガス化し、それに火が付き爆発します。
この液体には、油などが含まれている事もあるので、過電圧と過電流でガス化すれば容易に着火する事は想像に難くありません。
見出しのポイント
電解コンデンサー
平行平板
静電容量
耐圧
コンデンサーには耐圧があり、耐圧を超えて高い電圧や電流を印可すると、電解コンデンサーの場合、爆発し、外装のアルミ偏が周囲に飛び散り大変危険です。
- コンデンサーの故障の調べ方は?容量抜けの症状(劣化診断)を解説
- 容量抜けの症状と劣化コンデンサーが電子機器に及ぼす影響
- コンデンサーの容量抜けの症状確認方法はあるのか?
コンデンサーの故障の調べ方は?容量抜けの症状(劣化診断)を解説
下記では、電解コンデンサーの容量抜けを起こした場合に電子機器に与える影響と、電解コンデンサー故障の調べ方について解説します。
コンデンサーの故障の調べ方は、画像のような電解コンデンサーの場合、外装が明らかに変形していたり、トップのKのような切れ目部分が割れていて、中身が見えている場合は、完全にコンデンサーの故障です。
コンデンサ単体の劣化の可能性もありますが、周辺の電子機器の故障で、過電流や過電圧が与えられた結果、爆発することも珍しくありません。
ほかのコンデンサーには、電解コンデンサーのような防爆処理がされている事がなく、基本的に見た目だけで劣化を判断するしかありません。
後述しますが、コンデンサーの寿命を長くしたい場合は、なるべく温度変化のすくない環境で使用することをお勧めします。
容量抜けの症状と劣化コンデンサーが電子機器に及ぼす影響
容量抜けとは、言葉通り劣化や何らかの原因によってコンデンサー本来の性能が発揮できない状態をいいます。
ここで言うコンデンサー本来の性能とは、電荷を貯める能力の事で、容量だったり耐圧を指します。
なぜ、劣化によりコンデンサーの容量抜けが起こるのかというと、例えばアルミ電解コンデンサーは、外装がアルミニウムで出来ている為、ニッパーやラジオペンチで潰せば容易に変形します。
コンデンサーをぶつけて変形させた場合も、電極間距離が極端に変化し、耐圧や容量の変化を招く原因となります。
工具で変形させるのは極端な例ですが、コンデンサーは容量・耐電圧の他にも温度にも適正範囲が決まっていますので、これを大幅に上回る温度や環境で使用した場合、コンデンサーが異常に加熱して、定格電圧以上の電圧をかけない状態でも、内部の電解液がガス化し、劣化の原因になります。
極端な温度変化が起きる原因として、回路としては動作していても、基板上の部品配置のミスが原因でこのような容量抜けの症状が起きる事もあります。
例としては、電源周りの電解コンデンサーは入力や出力のリップルを取り除くために必要ですが、これがトランジスターのヒートシンクに接触したり、近くにあり過ぎると、コンデンサーを直接加熱しているようなものですので、劣化・故障・容量抜けを早める事になります。
故障して容量抜けを起こしたコンデンサーは、リップルが増大するので、本来の直流とはかけ離れた電源となり、製品機器に影響を及ぼし、電子機器全体の劣化・故障につながります。
リップルが増大する事の主な劣化症状としては、電子ノイズの増大、画面がちらつく等が挙げられます。
コンデンサーの容量抜けの症状確認方法はあるのか?
コンデンサー全般の容量抜けや故障・劣化診断で一番簡単な方法は、目視で出来る場合があります。
コンデンサーの種類によっては、内部の電解液がガス化して膨らむので、明らかに膨らんで変形した周囲とは異なる状態のコンデンサーが見つかります。
ガス化して膨らんだ場合は、セラミックコンデンサーなら外装にヒビが入っている場合もありますし、電解コンデンサーのように電解液で満たされているコンデンサーの場合、明らかに膨らんだり、防爆処理が施されているコンデンサーの上部部分の溝に亀裂が入っている場合があります。
コンデンサーの容量に関する計算方法は、下記の記事で詳細に解説しておりますので、コンデンサーの並列と直列接続において容量がどのように変化するのか気になる方はぜひご覧ください。
コンデンサーを過電圧破壊するとどうなるのか実験からの爆発!
コンデンサーの仕組みや、耐圧を超えて電圧を印加すると爆発してしまう事の原理をお話ししました。
コンデンサーの仕組みを加味した上で、実際にコンデンサーが過電圧破壊により爆発をするのか実験してみます。
実験に使った部品や回路の実体配線図を載せておきますが、もし同じ実験を試される方は、ゴーグルを着用して周りに可燃物が無い状態で、安全に注意して行ってください。
また、何度も書きますが、これはあくまでコンデンサーに耐圧を超えた過電圧をかけると危険だよ!部品選定を正しく行わないと、事故が起こるという事例として紹介しますので、このような用途でコンデンサーを使用する事を推奨するものではありませんので、ご了承ください。
実にシンプルですね!回路図の”照明器具”という文言は、間違えですので無視してください。
ただ、電解コンデンサーをコンセントに繋ぐというとてもシンプルな回路で実験を行いますが、いきなりコンセントに入れた瞬間に爆発すると危険なので、安全と心の準備の為にスイッチを取り付けました。
スイッチを取り付けると書きましたが、スイッチを付けるのが面倒だったので、色々検討した結果、テーブルタップと電源コードを差してスイッチONとする事にしました。
但し、コンデンサーとコードの接続は、端子台などを使うなどしてズレない場所に固定してください。
コードが宙ぶらりんのまま実験を行うと、思わぬ状態でズレたり外れたりして、別の危険が増す為、これが出来る最低限の安全対策です。
勿論、実験する時は長袖長ズボンでゴーグルの着用は必須です。(破片はどこに飛ぶか分からないので、出来ればアクリルカバーなどで覆い、安全を担保してください)
余った木材に端子台を固定し、そこに16Vの電解コンデンサーと、電源コードを接続しました。
木材は、机にバイスクランプで完全に固定し、引っ張っても動かないように固定しました。
スイッチならお好きなもので何でも構いませんが、スイッチ自体にも耐圧がある事を忘れないでください。
今回のテーマのコンデンサーに関わらず、電気部品には全ての部品に耐圧が存在し、かけてよい電圧・流して良い電流が決まっていますので、注意してください。
結果は当然ですが、コンデンサーは過電圧に耐えられず、過電圧破壊して爆発します!
動画でも判るように、かなり大きな音と大量の煙が発生しています。(ガス化した電解液が原因による白煙)
何度も確認しますが、ゴーグル・長袖・長ズボンを着用しましたか?安全対策を十分に行い、怪我のないように実験しましょう。
また、コンデンサーが爆発したときに発生した白煙は、電解液を含んでいて有毒ガスなので、なるべく吸わないように注意してください。
耐圧を超えたコンデンサーの爆発
怪我のリスク
有毒ガス発生
感電
火災
過電圧を印可した電解コンデンサーは、爆発して飛散物が周囲に飛び散る可能性がある他、爆発したときに発生した白煙は有毒ガスです。
コンデンサーが爆発すると、内部の絶縁体やプラスチック部分が発火し、火災の原因になります。
周囲に飛び散った破片は、アルミや電解液の為、意図しない感電を引き起こす原因になります。
- コンデンサー爆発による製品の事故・故障事例(電源の爆発事故)
- 爆発事故が起きやすいコンデンサーの種類を詳細解説!
コンデンサー爆発による製品の事故・故障事例(電源の爆発事故)
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あくまで部品選定を誤ると、コンデンサー爆発による危険性の一例として取り上げました。
電解コンデンサーの外装はアルミで、内部に入っている電解液はアルカリ性の事が多いため、破片が目に入ると大変危険という事をお伝えしました。
何度も同じことを書きますが、電子部品の部品選定は選定や印加する電圧を間違えると、時に破裂したり発火したり故障や事故の原因となる事を覚えておきましょう。
爆発事故が起きやすいコンデンサーの種類を詳細解説!
- 特徴: アルミ電解コンデンサーは、電解液を使用しており、過電圧に弱い。
- 発火メカニズム: DC過電圧で酸化皮膜が破壊され、ショート電流が流れる。
- 防爆弁: 内圧が上昇すると防爆弁が作動し、ガスが放出される。
- 発火のリスク: 内部抵抗による発熱で電解液が気化し、発火する可能性がある。
- 対策: 適切な電圧で使用し、定期的な点検が必要。
アルミ電解コンデンサーは、定格電圧を超える過電圧がかかると、内部の電解液が気化し、爆発や発火を引き起こす可能性があります。
特に、定格電圧の1.5倍以上の電圧がかかると、爆発的な反応が生じることがあります。
フィルムコンデンサーは、絶縁破壊が起こると長時間燃え続ける特性があり、過電流や過熱によっても故障することがあります。
内部でショートが発生すると非常に高温になり、周囲の材料を燃やす可能性があります。
特に、機械的ストレスや製造上の欠陥によってクラックが入ると、ショートを引き起こしやすくなります。
雷サージなどの過電圧から回路を保護するために使用されますが、自身が過熱して燃えることがあります
コンデンサー爆発はなぜ?ショートや劣化原因、過電圧破壊でどうなるまとめ
電解コンデンサーは、平板を向かい合わせ、パッケージ内を電解液で満たしたもので、コンデンサーの容量抜けや爆発・劣化の原因は主に、耐圧を超える温度や電圧を印加したことによる過電圧破壊である事を動画と画像で解説しました。
特に電解コンデンサーはパッケージがアルミで出来ていますので、何らかの原因で過電圧破壊が起こった場合は、爆発して破片が飛び散る危険性があるので、部品の選定は重要である事もわかりました。
容量抜けでコンデンサーが劣化しているかどうが確認する方法は、耐圧を超えた過電圧や温度を加えると、電解コンデンサーが全体的に膨らみ膨張するので、目視でも確認する事が出来ます。
特に電源周りでは容量の大きな電解コンデンサーを使用している事が多く、容量抜けによるコンデンサーの劣化は、電源の品質を悪くする原因となります。
コンデンサーが容量抜けで劣化すると、sin波である交流電源をうまく平坦な直流に変換する事が出来なくなる為、電源だけではなく、その電源に接続されている本体の電子機器にも故障を含めた多大な影響を与える原因になります。
最後に大事な事なのでもう一度書きますが、今回の実験はコンデンサーの過電圧破壊を意図的に見せた爆破実験ですが、本来コンデンサーをこのような用途で使用するべきではありませんし、怪我をする原因となる為、もし実験を行う場合は、電気工事士の免許を持った先生の監督の元、安全管理を徹底して、全員がゴーグルを装着した上で実験を行ってください。
また、上記に乗せたリンクはアマゾンで販売している特定の商品を中傷・批判・攻撃する趣旨の内容ではありません。
コンデンサーは他の部品と比べて発火や爆発等の事故につながりやすい部品ですので、部品選定は正しく行いましょうというお話でした。
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