びっくり箱は通常バネなどで作る飛び出すおもちゃですが、これを電子化して触るとちょっとびっくりする程度にビリッと来る電子びっくり箱の元となる高電圧発生装置を自作してみましょう。
この電子びっくり箱は、高電圧発生装置原理の基礎で、使用部品はたったの2個だけ!トランス+乾電池だけで制作できるおもちゃで、自作できる電子工作入門に最適です。
私の紹介する電子びっくり箱は、小学生や中学生が学校の授業で電気について勉強し始めた時の教材としても最適で、子供と一緒に楽しめる自作電子工作回路です。
今回は、この電子びっくり箱の動作原理と高電圧発生装置の回路図や作り方についてお話しします。
この電子びっくり箱は触ると多少ビリッとする程度で、人体に影響を及ぼす程の高電圧は発生しませんが、びっくりして手を離した拍子に他の所にぶつけたりする可能性もありますので、十分注意して実験してください。
また、人体への影響は無いとは言え、高電圧を発生させる装置ですので、体や心臓の弱い方・装置について理解できない動物に使用しない様お願いいたします。
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高電圧発生装置自作!電子びっくり箱の原理と回路図を解説ポイント
- トランスが感電する程の高電圧を生み出す原理は誘導起電力が元。100回巻:1000回巻のコイルがあって100回巻のコイルに100Vの電圧をかけると1000Vが発生する。
- トランス+乾電池だけで発生する電子びっくり箱の電圧はONからOFFに切り替えた時の一瞬だけ!自作高電圧発生装置で持続的にこの電圧を発生させるには別途発振回路が必要。
- アマゾンで購入できる高電圧発生装置がヤバい!乾電池を繋ぐだけで1万ボルト以上の高電圧を手軽に発生できる。高電圧の実験に最適。
高電圧発生装置を自作するための回路図や原理を解説!電子びっくり箱
では、早速高電圧発生装置を自作するための回路図や原理についてお話しします。
高電圧発生装置を組み込んだ、自作の電子びっくり箱の基礎的な部品の元になるのがトランスです。
トランスでも、電源トランスよりは、巻き数比が大きな蛍光灯インバーターや、電撃殺虫器・電撃ラケットから取り外したトランスを使用するとよいでしょう。
自作高電圧発生装置の電子びっくり箱の原理はとても簡単で、1次側に電池とスイッチを接続するだけで、2次側に高電圧を発生させることが出来ます。
ただし、2次側に高電圧を発生させるためには、継続的にボタンのON・OFFを繰り返さなければいけません。
通常、スイッチをONにすると、継続的に高電圧が発生する回路は、トランジスタなどの半導体スイッチを使って、スイッチでの手動ON・OFFと同じ動作を高速で実現しています。
自作電子びっくり箱の高電圧発生装置とは?
トランス
スイッチ
高速スイッチング
高電圧
電子びっくり箱
電子びっくり箱を自作するには、電源トランスや昇圧トランスをつかって、スイッチをON/OFFするか、半導体を使って、これらの物理的動作を自動化することで高電圧を発生させる。
これを、高速スイッチングという。
- 電子びっくり箱の制作に必要な部品を解説!
- 高電圧発生装置:電子びっくり箱の回路図と動作原理は?
- コッククロフトウォルトン回路が直流電流の高電圧を生み出す原理
電子びっくり箱の制作に必要な部品を解説!
これが無くては自作高電圧発生装置は始まりません!大き目の要らないACアダプターを分解しても出てきます。
商品名はHT-601という電源トランスで、一次側が6.3Vで二次側が100Vのトランスです。
下の回路図と原理ではトランスを使うと電圧が昇圧しかできないようなイメージですが、そうではありません。
電子びっくり箱の自作で使うなら、別にHT601でなくても構いませんが、なるべく巻き数比の大きなトランスを探すことが高電圧を発生させるためのポイントです。
このような高電圧を発生させるトランスは、単品での販売はなかなかありません。
自作することも可能ですが、それなりのノウハウと技術や根気が必要で、簡単ではありません。
トランスはこの表記の通り、6.3Vの電圧をかければ100Vが出力されますし、逆に100Vを入力すれば6.3Vの電圧が出力されます。
電源トランスは下記のようなものです、この画像のトランスは私が中学生位の時に購入したものですが、当時の値段は600円前後でした。
押しボタンスイッチには押した時だけONして離すとOFFになる、ゲームセンターによくある大き目の押しやすい押しボタンスイッチを採用しました。
確かアキバでセール品を購入した気がします。
押しボタンスイッチは、何でも構いませんが、画像のようにかなり大型になると穴を開けるのも大変ですし、端子もついてないので、予め端子がついていて下記のような小型の押しボタンスイッチが安価でおすすめです。
電子びっくり箱を自作する位であれば、押しボタンスイッチは、モーメンタリー型なら何でも構いません。
注意点として、オルタネイト型のスイッチを購入してしまうと、一度押すとおしっぱなしで、もう一度押さないとスイッチがOFFにならないので注意が必要です。
電池ボックスなんて何でもいいです。
殆どのホームセンターでは、電池ボックスは勿論、電池も販売しています。
単三電池という所にも意味はありませんので、単四電池でも単5電池でも構いませんが、電圧だけは注意してください。
上記のトランスの場合、最大定格が6.3Vですので、これ以上の電圧をトランスにかけてはいけません。
9Vの角形電池を一瞬だけON・OFFするくらいなら何の影響もありませんが、低電圧でも長時間ONの状態をキープしてしまうと、過電流が流れ続けて、電池にもトランスにもよくありませんので、スイッチオンは一瞬だけにしましょう。
電池ボックスやスイッチ類は、電子工作をするなら今後沢山必要になってくるパーツの一つですので、まとめ買いをする事をおすすめします。
下記におすすめの電池ボックスのリンクを載せておきます。
ネオン管には110Vと200Vで動作するものがありますが、どちらでも光るのでどっちでもいいです。
ネオン管と間違えて、内部にLEDが入ったパイロットランプを購入しないようにだけ注意しましょう!最悪LEDが壊れます。
勿論、上記のようなブラケット入りのネオンランプでも問題ありませんが、抵抗なしのネオンランプ単体ならより明るく光る所を観察できます。
ネオンランプ単体が本来どのようなものか、よく観察できるのでおすすめです。
ネオン管の点灯を確認するときに、うっかりむき出しの線に触るとピリッとした刺激を指先に感じることがあり、びっくりしてけがをしないように注意してください。
高電圧発生装置:電子びっくり箱の回路図と動作原理は?
回路図をご覧ください。
上記の高電圧発生装置は無駄な部品を極限まで省き、電源トランスと乾電池のみの簡単な回路です。
基本的な部品は冒頭でもお伝えした通りたった二点ですが、これだけでも人を感電させるだけの高電圧を発生させることができます。
感電といっても、人や動物が死ぬような高電圧は発生しません!あくまでおもちゃの電子びっくり箱で、多少指にピリっとした刺激が走る程度で、感電というよりびっくりさせる効果が大きいでしょう。
ただし、2次側に出力される電圧は、入力電圧と巻き数比に比例しますので、実験するときは、単三電池1本だけで実験しましょう。
これなら、触って実験しても、ほんの少しピリッとくるくらいで済みます。
刺激の度合いを表現すると、電子ライターの感電よりもはるかに弱い刺激なので、夏休みの自由研究としても安心して試すことが出来ます。
極限まで部品を省いたと解説したのは訳があって、この回路ではスイッチをON・OFFした時に、一瞬だけ高電圧を発生させることが出来ますが、それはあくまで一瞬!つまり単発で、持続的に交流の高電圧を発生させる事が出来るわけではありません。
もし、インバーターのように電池とスイッチを繋いだだけで、持続的な高電圧を発生させたい場合は、トランジスタやIC等の半導体素子を用いて自動的にON・OFFする回路を付加しなければいけません。
スイッチの部分を今回のような人ではなく、半導体制御によるON・OFFを繰り返すには、単安定マルチバイブレーター回路や、非安定マルチバイブレーター、トランジスタとトランスの相互作用を利用した自励式のブロッキング発振回路が一般的です。
さて、本題のトランスに繋いだ電源をON・OFFするだけでなぜ高電圧が発生するのかというと、これは『電磁誘導作用』を利用して高電圧を発生させています。
トランスは鉄芯にコイルを巻きつけたものですが、コイルに電流を流す(ONの時)とそれを妨げる方向に磁力が発生します。
逆にOFFにすると今までとは逆に増加する方向で電流が流れます。
この辺のトランスの詳しい原理については、様々なサイトで解説されている基礎的な事ですので、概要だけまとめて分かりやすくポイントだけお伝えすると。
トランスは電源をOFFにした時に一瞬だけ巻き数に応じた高電圧が発生する。
巻き数に応じた高電圧とは、1次側(画像だとIN)に10回コイルを巻いて、2次側(OUT)に1000回コイルを巻いて、一次側に10VをかけてON・OFFした時に、二次側には何と1000Vの高電圧が発生するという事です。
ただし、トランスはその仕組み上、ONした後に電源を切った時の一瞬しか電圧が発生しないので、これを持続的に行うには、人がスイッチを何度もON・OFFするか、インバーター回路を用いてON・OFFするしかないという事です。
今回は外部回路を省いた分、たった二点で簡単に自作高電圧発生装置でもある電子びっくり箱が実現できたという事になります。
上記の回路のように、人が触る部分にネオン管や蛍光灯付けてスイッチを何度もON・OFF繰り返してみてください。
一瞬だけ蛍光灯やネオン管が点灯するはずです。
たった3Vの電圧で本来、80V-100Vの電圧でなければ点灯しないネオン管がひかるのですからすごくないですか?
この実体配線図のように結線した自作高電圧発生装置の回路図ですが、高速で押しボタンスイッチをON・OFFを繰り返すとどうなるでしょうか?
なんと、基本的な部品はたった2点にも関わらずネオン管を点灯させるほどの高電圧が一瞬発生している事が分かります。
その証拠に直接ネオンランプに乾電池を接続して押しボタンスイッチをON・OFFしても光りません。
では、実際に動画でも押しボタンスイッチをON・OFFすると一瞬だけネオンランプが点灯する様子をご覧ください。
回路がむき出しの状態になっていますが、間隔を一部開けたアルミホイルで覆った箱にスイッチと一緒にとりつければ自作電子びっくり箱の完成です。
ただ、普通のスイッチだと自分で押して離さないと電圧が発生しないので、スイッチを工夫する必要があります。
そういった時に便利なスイッチがマイクロスイッチです。
このスイッチには、自在に変形しているロッドがついて居るので、このロッドのひっかかりを利用して『箱を開けた時』『箱を持ち上げた時』にびっくりさせる事が出来る”電子びっくり箱”を製作する事が出来ます。
マイクロスイッチを使った時の動作のポイントは、箱を置いた状態では、箱の重みでマイクロスイッチがONの状態で、箱を持ち上げるとスイッチが切れると同時に高電圧が発生するという仕組みです。
コッククロフトウォルトン回路が直流電流の高電圧を生み出す原理
高電圧発生装置について学んでいると、必ずコッククロフトウォルトン回路という電子回路が出てきます。
これは、コッククロフトとウォルトン博士によって開発された高電圧発生装置回路です。
先ほどの画像のトランスの2次側で発生した交流電源を、コッククロフトウォルトン回路というコンデンサーとダイオードを多段接続した回路に接続する事で、直流の超高電圧を発生させる事が出来ます。
電撃ラケットも、アマゾンで販売している高電圧発生モジュールも、病院で使われているレントゲン管球を駆動させる回路も、暴徒鎮圧に使用されるスタンガンも全て内部はこのコッククロフトウォルトン回路が入っています。
今回コッククロフトウォルトン回路までの解説はしませんが、高電圧発生装置の回路の基本構成は、電源からインバーター(ON/OFFを自動で行う電子回路)+トランス+コッククロフトウォルトン回路と言った構成になっています。
もうすこしコッククロフトウォルトン回路を高電圧発生装置に付加するメリットをわかりやすく解説すると、この回路を付加すると、さらに直流の高電圧を自在に昇圧することが出来ます。
コッククロフトウォルトン回路については、様々な書籍やネットで解説されていますので、興味のある方は調べてみるとよいでしょう。
電子びっくり箱以外での高電圧発生装置の応用や自作例
電子びっくり箱の自作方法や、高電圧発生装置の原理が理解できた所で、高電圧発生装置のその他の応用や、継続的に高電圧を発生させる装置について解説します。
自分が学生の頃は、このようなモジュールが販売されることがありませんでしたが、昔よりも半導体の大量生産が可能になり、より安くこのような高電圧発生装置が購入できるようになりました。
Amazonでは、電池一本それも単三電池1.5V×1本で、数万ボルトの高電圧を発生させることが簡単にできます。
このモジュールは、電気柵や蚊取りラケットの応用として使われることも多い製品です。
高電圧発生装置の応用やDIY自作例
電気柵
電撃ラケット
電子蚊取り器
オゾン発生器
高電圧発生装置は、DIY分野から科学的な実験用とまで様々な応用・活用事例があります。
特に、アマゾンなどで販売している小型の高電圧モジュールは、自作の電気柵や電撃ラケット・電子化路取り器のパワーアップ改造目的で使用されることが多いです。
うまく、プラズマアークを発生させれば、オゾン発生器として使用でき、強力な酸化作用を利用し、脱臭や殺菌目的として使用されます。
派手なプラズマやオゾンを発生させたい場合によく使われる回路がテスラコイルです。
テスラコイルの自作方法や動作原理、ニコラテスラに関する記事は、こちらで解説していますので、併せてごらんください。
- 電気柵も高電圧発生装置の一つ!電気柵とコンデンサーとの関係
- アマゾンで売ってる高電圧発生装置がヤバい!1万Vの超高電圧
電気柵も高電圧発生装置の一つ!電気柵とコンデンサーとの関係
電気柵も高電圧発生装置の一つですね。
高電圧発生装置で調べていると、サジェストの一つに電気柵とコンデンサーの関係について知りたがっているユーザーも一定数いる様なので、この辺について解説します。
結論から言って、コンデンサーの容量を上げれば電気柵の威力も上がります。
これを、電気的な理由から解説すると、コンデンサーの並列接続と直列接続でどのような電気現象が起こるのかを考える必要があります。
コンデンサーは、向かい合わせた間隔を開けた平板に電気を流すと、電気が貯まる電子部品ですが、直流では一瞬電流が流れその後無限大の抵抗となります。
交流電源におけるコンデンサーのふるまいは、コイルと違い電流を流します。
この辺の解説はさておき、重要なのはここからです。
コンデンサーは直列に接続した時、抵抗のように抵抗がアップするわけではなく、電荷の容量は同じです。
コンデンサーには耐圧(かけていい電圧が決まっている)がありますが、これを一つのコンデンサーと仮定すると、直列接続の時はコンデンサーを接続するごとに向かい合った平板の電極間距離が大きくなります。
つまり、コンデンサーの直列接続においては、電極間距離が大きくなる事と等しくなり、耐圧がアップするが、容量は同じ。という事です。
この時かかっている電圧は大きくなりますが、コンデンサーの容量はどのコンデンサーに関しても同じです。
次にコンデンサーの並列接続ですが、並列接続の時は逆に耐圧は減るが容量は2倍に増える。
例えば、200μF 100Vのコンデンサーを二個並列に接続した時は、容量は400μFだが、耐圧は100Vのままという事です。
※補足:右の300μ 100Vのコンデンサーは、並列接続した二つのコンデンサーの合成容量を求めたコンデンサーです。
コンデンサーは、使い方を誤ると爆発の危険もありうる電子部品です。
コンデンサーを扱う上での注意点については、以下の記事でまとめていますので、コンデンサーを使って電気柵のパワーアップを検討されている方は、以下の記事も併せてごらんください。
アマゾンで売ってる高電圧発生装置がヤバい!1万Vの超高電圧
上記の回路はトランスの基本原理を学ぶために制作した簡易的な高電圧発生装置でしたが、アマゾンではこれらの回路をモジュール化して、電池を繋ぐだけで1万V等の高電圧を発生させる装置が安価で販売されています。
高電圧でバチンバチンと放電する様は見ていてとても面白いです。(入力電圧は1.5V~6Vと幅広いです。電圧をマックスまであげれば電撃の威力はもう少し強くなると思われます)
音が凄いですね!めちゃくちゃ迫力があります。
ネオン管は点灯しますが、あまりの高電圧故に沿面放電してしまいました。
これを電撃ラケットに組み込んでパワーアップした動画やサイトなども散見されますが、私が改造した電撃ラケットはモジュールの仕組みの基礎から解説し、どのように改良すれば高電圧を発生させパワーアップできるのかを解説していますので、ぜひご覧ください。
アマゾンで販売しているモジュールを購入しなくてもこれなら僅か数百円で同じような高電圧発生装置が出来てしまいます。
これにコッククロフトウォルトン回路を追加したら・・・!恐ろしいですね( ゚Д゚)
取り付けられているコンデンサーを、容量の大きなものに変更しただけでも、電撃ラケットのパワーはアップしますので、是非試してみてください。
高電圧発生装置自作!電子びっくり箱の原理と回路図を解説まとめ
今回は子供の自由研究や電気の学習教材としても楽しめる、簡易的な高電圧発生装置【自作電子びっくり箱】の動作原理・回路図や作り方について解説しました。
電子びっくり箱のキモはトランスで、トランスは、巻き数比に応じた電圧を発生させる事が出来ます。
おさらいですが、例えば10回巻と100回巻のトランスがあったとして、このトランスに10Vを入力すると100Vが出力されますし、逆に100Vを入力すると、10Vが出力されます。
トランスには流せる電流にも定格があり、今回使用した電源トランスは最大で0.18Aの電流を流す事が出来ます。
トランスは害獣対策用の電気柵にも使用されており、電気柵のパワーをアップする方法としてコンデンサーは有効です。
コンデンサーを並列に接続した場合、容量は二倍になりますが、耐圧が100Vのコンデンサーを使用した場合は耐圧は100Vのままです。
500Vと100Vのコンデンサーを並列にした場合、耐圧は100Vになります。
コンデンサーを直列接続した場合は、耐圧がアップします。
トランスは高電圧発生装置の肝になる部品ですが、電撃ラケットやアマゾンの高電圧モジュール、電子ライター等は、トランスと電源だけで構成されているわけではなく、ON・OFFを自動で実現する発振回路や、コンデンサーとダイオードで構成されたコッククロフトウォルトン回路を付加して高電圧を発生させています。
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