水撃ポンプを自作すれば川から電気を使わないで水をくみ上げる永久機関を作る事が出来ます。
何故電気を使わないで水を永遠に組み上げられるのか不思議ですが、水撃作用を利用して水をくみ上げる事で実現できます。
このポンプは水撃ポンプの他にラムポンプ(ram pump)とも呼ばれています。
水撃ポンプは「うるさい」「近所迷惑?」と考える方もいるようですが、その心配はありません!近所トラブルになるほどうるさい騒音を発生させることはありません。
個人で水撃ポンプ(ラムポンプ)を自作する方法から仕組み、全て揃えるのが面倒な方の為にキットの販売について解説します。
スポンサーリンク
記事の要約とポイント
- 電気を使わないで水をくみ上げるには水撃ポンプを作れば実現可能だが、湖などの静止した水では汲みだす事が出来ない。(水の流れが発生する高低差のある川が条件)
- 水撃作用とは流れる水を急激に止めた時に流体エネルギーが圧力エネルギーに変換された時に起こる現象である。
- 水撃ポンプは自作可能だが、100均レベルの材料で全て揃えるのは無理があるし、実用レベルで稼働させることはできない。(塩ビ管が必要な為)
Webからのお申込みは3,000円割引、さらに今ならTポイント2倍!
水回りのことでお悩みの方は水道救急センターにおまかせください!
水撃ポンプの自作は簡単!電気を使わない永久機関の仕組みを解説
水撃ポンプは個人でも自作出来ますが、それなりの知識も必要です。
まずはしっかり動作原理を理解した上で、必要な道具と材料を揃えて行きましょう。
水撃ポンプ(ラムポンプ:ram pump)を動かすのに必要な原理は水撃作用です。
この水撃作用は、急激なバルブの開閉で生じた内部の流体エネルギーが、圧力エネルギーに変換された時に起こる水撃作用で、別名ウォーターハンマーとも言います。
一般家庭で確認できる事例としては、洗濯機の電磁弁が急に閉じた時にドンっという音や、急激に開閉が可能なボールバルブを使用して水道の開閉動作を行った時に発生しやすい現象です。
この水撃作用であるウォーターハンマーは、流体エネルギーを圧力エネルギーに変換して水をくみ上げるほどのエネルギーを発生させられるメリットもあります。
しかし、日常生活においてはこのような利用方法で水撃作用を利用する事はないので、圧力エネルギーは単に配管を傷めたり電磁弁の故障につながるデメリットの方が大きいのです。
図の解説でもあるように、高低差のある川から落差を利用して勢いよく配管内を流れた水(流体)は、いきなり流れを止められると、その一部のエネルギーが逆流して元の流れとぶつかります。
これが水撃作用:ウォーターハンマーの基本原理です。
参考までに、海外アマゾンで販売されているラムポンプの製品画像を載せておきます。(日本では購入できませんが)
水撃ポンプ自作!動作原理
ウォーターハンマー
水撃作用
ラムポンプ
流体エネルギー
圧力エネルギー
水撃ポンプは、1772年にジョン・ホワイトハーストが初めて水撃作用を利用したポンプを開発したのが始まりで、比較的歴史の古い原始的なポンプ。
流れる水の流体エネルギーを圧力エネルギーに変換することで起きるウォーターハンマー現象(水撃作用)を利用して水をくみ上げる装置。
- 水撃ポンプを自作する時に必要な道具や材料を解説:基本塩ビパイプ
- ラムポンプを動作させる為に必要な設計図とうるさい音の理由
- 電気を使わないポンプの自作に必要な基本工具
水撃ポンプを自作する時に必要な道具や材料を解説:基本塩ビパイプ
下記で解説しているパーツと道具が揃えられれば個人でも十分に水撃ポンプの自作をすることは可能ですが、塩ビ管の用意がかなり曲者です。
塩ビ管は極力長いものが欲しいので、4m級のものになるとハイエースでも入りませんし、長すぎて軽トラックに積むのも怖いです。
私は近くに工務店がありましたので、工務店さんで購入して自宅まで運んできてもらいました。
塩ビ管は、カインズやエンチョーで購入するより、工務店を通して購入した方が安い場合もあります。
ラムポンプを動作させる為に必要な設計図とうるさい音の理由
初めに水撃ポンプがうるさい理由から解説します。
後々の動作で判ってきますが、これは冒頭で解説した水撃作用を定期的に間欠動作で起きる為、チャッキバルブの開閉音がうるさいと感じる事があります。
と、言っても、そんなに騒音になる程うるさいわけではありません。
そもそも水撃ポンプは、水量・水流の激しい川の中に設置しなければ動作しないので、川の水の流れる音にかきけされ、それほどうるさいと感じる事はないでしょう。
ですので、うるさくて近所迷惑になる心配はありません。
では、続いて図を見ながら水撃ポンプの基本動作について解説します。
1番と4番のボールバルブを閉じた状態で開始します。
落差のある川から引いてきた水は、勢いをつけてINに流れ込みますが、1番のボールバルブが閉まっているので、水が流れ込む事はありません。
1番のボールバルブを全開にすると、ある程度勢いのついた水は3番のチャッキバルブを押し上げて、4番のボールバルブが閉じている為水は流れていきません。
2番のチャッキバルブは、水を妨げる方向で取り付けてあるので、このままでは開きません。
続いて、2番のチャッキバルブを指で何度か押したり離したりすると、次第にチャンパー内に圧力が蓄積されていきます。
この動作を暫く繰り返していると、今度は自動で2番のチャッキバルブが開いたり閉じたりを繰り返しはじめます。
次に、2番のチャッキバルブの動作が停止しない事を確認しながら、ゆっくりと4番のバルブを開放します。
最終的に、4番のボールバルブを全開にする頃には、チャンパー内に蓄えられた圧力で、水を川より高い位置へ押し上げる事が出来ます。
水流の圧力エネルギーを利用しているので、川の流れが止まれば水はくみ上げることが出来ませんし、取り込んだ水流に対し、出てくる水は圧力が弱く、水を散水できるほどではありません。
なんだそんなものか!と、あきらめる前に、タンクにある程度水を貯めてから、加圧ポンプで加圧してやれば、水道と同じ勢いで水を出すことが出来ます。
折角電気を使わずにくみ上げた水を、今度は電気で加圧するのか!と、矛盾もありますが、ある程度の圧力が必要なら仕方ありません。
もしくは、自分より高い位置にタンクを持ち上げて、タンクの圧力を利用して水圧を確保すればよいのです。
続いては、図で解説しているパーツの詳細を表にしてみました。
No | パーツ | 数量 | 備考 |
1 | チャッキ弁 | 2 | 125用 |
2 | ボールバルブ | 2 | 25A用・1/2用 |
3 | VP13/VU65 | 1 | 配管 |
4 | チーズ | 2 | VP25用 |
5 | 異形継ぎ手 | 2 | VP25からVP13変換 |
6 | TSバルブソケット | 3 | VP25用 |
7 | 塩ビ管 | 1 | VU65 |
8 | 継ぎ手 | 1 | VUDS65 |
9 | 蓋 | 1 | VU65 |
10 | 掃除口 | 1 | DV継手65 |
実際に商品のリンクを張り付けておきますので、現物と確認用の参考にしてください。
チャッキバルブです。
チャッキバルブは他の名称を逆止弁・チェックバルブとも呼ばれており、水道用に関わらず、様々な用途の物が存在します。
空圧用のチェックバルブもありますし、電子回路だとダイオードが電流を一方方向にしか通さない役割をしますので、流れるのは電流ですが水のチャッキバルブと似た働きをします。
ホームセンターで、同様のチャッキバルブを購入する事も出来ます。
しかし、大抵とても高価なので、インターネットでキーワード『チャッキバルブ・チェックバルブ・逆止弁』を駆使して探すと、中華性の安価なチェックバルブを購入する事が出来ます。
リスクはありますが、最近だとアリエクスプレスなどでも安価なチェックバルブを購入する事が出来るので、探してみるのも良いかもしれません。
パイプの外径と同じ径のチャッキバルブであれば、どんなものでも構いません。
水圧がそれほど高くないので、安価なもので十分です。
画像の製品だと、KITZという安価なメーカーのものを利用しています。
鋳物製の他に、アメリカだとプラスチックのものも販売しているようですが、衝撃などを考えるとチェックバルブは鋳物製のものが良いと思います。
アメリカで販売しているプラスチックで透明のチャッキバルブは、長期間使用していると、恐らく紫外線で劣化して見た目も悪くなりますし、透明度も低下する可能性が高いです。
このボールバルブはプラスチック製品で、図で示すと、一番の水流制御用のバルブとして使用しています。
何故、一番のバルブを25Aのプラスチック製品にしたかというと、鋳物製で25Aとなると、それだけで制作コストが相当高くなってしまうので、安価な塩ビパイプ製のものにしました。
ただ、強度を考えると、できる限り鋳物製のフルボアタイプのボールバルブが良いと思います。
フルボアタイプのボールバルブについて簡単に解説すると、フルボアタイプのボールバルブは、レデュースドボアタイプのボールバルブとは異なり、管内系が同型なので流体ロスを抑える事が出来ます。
逆にレデュースドボアタイプのボールバルブは、管内系より一回り小さいサイズになり流体抵抗が発生するというデメリットがあります。
しかし、フルボアタイプのボールバルブよりも、小型で安価というメリットがあります。
今回の水撃ポンプで使用するボールバルブは、流体損失をなるべく抑える必要があるので、ボールバルブは必ずフルボアタイプのものを選択する必要があります。
このボールバルブはネットで購入しなくても、大抵はホームセンターに置いてありますので、ポイントやカードをお持ちであれば、ホームセンターで調達するのも良いでしょう。
仕組みは他のボールバルブと変わりありませんし、プラスチック