灯油こぼしたら自然発火する?コンクリート・玄関にこぼした時の対処

灯油は気化する 田舎暮らしを楽しむ
灯油は放置すれば自然と気化します。自然発火する事はありません

灯油をこぼしたら、自然発火する程引火点は低くないので慌てる心配はありませんし、コンクリートや玄関にこぼしても自然と気化するので、少量ならこぼした灯油を放置しても問題ありません。

多量にこぼした灯油の臭いが気になる場合は、対処方法としてウェスにしみこませて処分するしかありません。

灯油は引火点が40℃と大変低い可燃性の液体で、火元の無い玄関やコンクリートで自然発火する事は稀でしょう。

灯油は、コンクリートや玄関など、成分がセメントで出来た土間なら問題になりませんが、多量にこぼして靴やケースなどのプラスチック部分にかかり、放置すると溶けたり変色したりする可能性も十分にあります。

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灯油こぼしたら自然発火する?コンクリート・玄関にこぼした時の対処ポイント

  • 灯油をこぼしても、引火点は40℃とガソリンのマイナス40℃と比べると低いので、自然発火する可能性は極めて低い。
  • 灯油をコンクリートや玄関にこぼしても自然と気化するので放置で問題ないが、プラスチック製品にかかると変色や変形の可能性がある。
  • 灯油を玄関にこぼした場合の対処方法は、ウエスや新聞紙に含ませて保管して置けば焚き火の焚きつけになるので捨てるのは勿体ない。
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灯油をこぼしても自然発火の心配はないが物によっては溶ける可能性!

結論から言って、灯油をこぼしても自然発火の心配はありませんが、物によっては溶ける可能性があるので、飛散した場合はよくふき取りましょう。

灯油の引火点は他の可燃性液体と比べて低く、40℃と言われています。

灯油の引火点とは、灯油が40℃以上になると灯油のガスが発生し、何らかの静電気やスパークで発火する可能性が高いことを示しています。

この引火点が高い程、燃えにくい液体で、ガソリンはマイナス40℃と引火点が大変低く、揮発し易く燃えやすい液体と言えます。

引火点が低い灯油ですが、火災の心配なく完全に安心な燃料という訳ではないので、ガソリン同様安全に注意して取り扱う必要のある燃料です。

灯油自然発火に消火器
灯油を使うなら消火器も必ず準備しよう

灯油やその他の液体の燃えやすさは、引火点以外にもさまざまな要因によって異なり、『引火点』『蒸気圧』『揮発性』『発熱量』『酸素濃度』『点火元』で変化します。

以下に、主な要因とそれぞれの影響について説明します。

前述の通り、引火点は液体などの可燃物が燃え始めるのに必要な最低温度です。引火点が高いほど、その物質は燃えにくくなります。

蒸気圧とは、液体から蒸気が発生しやすい度合いを表す指標です。蒸気圧が高い液体は、より多くの可燃性蒸気を発生しやすいため、燃えやすくなります。

揮発性とは、液体 が気体になりやすい度合いを表す指標です。揮発性の高い液体は、より多くの可燃性蒸気を発生しやすいため、燃えやすくなります。

発熱量とは、燃焼時に発生する熱量を表す指標です。発熱量が高い液体は、燃焼時により多くの熱を発生するため、燃え広がりやすくなります。

燃焼には酸素が必要です。酸素濃度が高い環境ほど、燃焼が活発になり、燃え広がりやすくなります。

点火源とは、燃焼を始めるための火花や静電気などのことです。点火源のエネルギーが大きければ大きいほど、燃えやすくなります。

これらの要因が複雑に絡み合い、灯油やその他の液体の燃えやすさが決まります。

以下に、代表的な液体の引火点とその他の性質を比較した表を示します。

液体引火点 (°C)蒸気圧 (kPa)揮発性発熱量 (kJ/kg)酸素濃度 (燃焼限界)
ガソリン-4010034,0001.4-7.6%
エタノール-115.929,7003.6-43.0%
灯油401.346,0001.4-7.0%
軽油540.142,5001.4-7.0%
1,00010.12,258
一般的な液体の燃えやすさの表

この表からも分かるように、ガソリンは引火点、蒸気圧、揮発性、発熱量すべてにおいて最も高い値を示しており、最も燃えやすい液体であることが分かります。

一方、水は引火点が高く、蒸気圧、揮発性、発熱量すべてにおいて低い値を示しており、燃えにくい液体であることが分かります。

灯油はガソリンよりも引火点が高く、燃えにくい液体であると言えますが、それでも引火点を超えると危険になるため、取り扱いには十分注意する必要があります。

上記の解説から、灯油が自然発火しにくい燃料である事が分りますが、次にプラスチック製品が溶けるとはどういう事か?について解説します。

具体的にはガソリンで発泡スチロールを溶かして接着剤を製作した時の記事で解説していますが、記事内容を多少要約すると、ガソリンも灯油もプラスチック製品に対しては溶剤として働くので、物にもよりますが、灯油がかかったまま放置すると劣化を早めたり、変形や変色・色落ちが起きる可能性もあります。

玄関に灯油をこぼした場合、プラスチック製品があると溶けるってホント?その理由について解説!

尚、灯油の具体的な取り扱いについては、東京消防庁のサイトが非常に参考になりますので、灯油の扱いに不安のある方は是非ご覧ください。

東京消防庁<広報テーマ(2022年12月号)>

灯油をこぼしたのがコンクリートの場合はどうなる?染みが出来る?

灯油は油性の液体なので、コンクリートにこぼすと一時的にシミになる事はありますが、殆どの場合揮発して目立たなくなりますので、それほど心配はいりません。

もし、多量にこぼしてしまった場合は万が一の火災を考慮して直ぐにふき取る必要があります。

灯油をこぼした
自然発火や単体で火が着くことは無いが大量にこぼした場合はふき取ろう

ふき取るときも、雑巾や新聞紙、ぼろ布等灯油がしみ込むものなら何でも良いですが、灯油の臭いや汚れをいち早く消したい場合は、中性洗剤で洗い流すか、重曹も灯油の洗浄に効果がありますので試してみるとよいでしょう。

続いて、何故灯油をコンクリートにこぼしても問題ないのかを科学的観点から解説します。

結論から言うと、コンクリートの主成分であるセメントと灯油は、プラスチックの様に化学反応を起こさないからです。

コンクリートは、セメント、水、砂、砂利などを混ぜて作られる複合材料ですが、セメントは、水と反応して水酸化カルシウムなどの化合物を生成し、これらの化合物が互いに結合して硬化します。

一方、灯油は主に炭素と水素で構成される炭化水素で、炭化水素は一般的に不活性であり、他の物質と容易に反応することはありません。

そのため、灯油とコンクリートを混ぜても、特別な化学反応は起こらず、単に灯油がコンクリートの細孔に染み込むだけです。

他の場所よりコンクリートに灯油がしみ込むとなかなかシミが取れない理由は、コンクリートが多孔質な為、一見堅そうでもよく見ると微細な穴が沢山開いている為です。

灯油とコンクリートが日常生活で化学反応を起こす事はありませんが、セメント・砂・水を混ぜた段階の強アルカリ性の段階だと、灯油とコンクリートの化学反応が起こる可能性があり、コンクリート構造物の品質や耐久性に影響を与える可能性もある為、注意が必要です。

コンクリート打設時に、基礎となるコンクリートに灯油などの油性の物が付着していると、うまくコンクリート同士が接着しない可能性はかなり高いと言えます。

いずれにせよ先ほど解説した通り、硬化後のコンクリートはかなり安定した物質なので、灯油と化学反応が起こり劣化したり、自然発火する心配はありません。

灯油をこぼしたら放置で気化するのを待てばOK!臭いならふき取り

何度も書きましたが、灯油をこぼして自然発火する事は殆どありません。

コンクリート等に20Lの灯油缶全てをぶちまけてしまったなら話は別ですが、燃料を灯油ストーブに移す時、少量こぼしてしまっただけなら、放置して気化するのを待っても良いでしょう。

灯油タンク外観
玄関に少量なら放置でも問題ないが、大量にこぼした場合はふき取ろう

灯油が気化するまでの時間は、様々な要因によって大きく異なるため、一概には言えません。

影響を与える主な要因は以下の通りです。

  • 温度: 温度が高いほど、灯油はより速く気化します。
  • 表面積: 表面積が大きいほど、灯油はより速く気化します。
  • 空気の流れ: 空気の流れが速いほど、灯油はより速く気化します。
  • 湿度: 湿度が高いほど、灯油はよりゆっくりと気化します。
  • 灯油の量: 灯油の量が多いほど、気化するのに時間がかかります。

具体的な目安としては、以下の通りです。

  • 室温 (約20℃) で、コップ一杯 (約200ml) の灯油が完全に気化するまでの時間は、数時間から1日程度です。
  • 夏場の暑い日 (約30℃) で、平らな皿にこぼした灯油が完全に気化するまでの時間は、数時間程度です。
  • 冬場の寒い日 (約0℃) で、コップ一杯 (約200ml) の灯油が完全に気化するまでの時間は、1日以上です。

灯油をこぼしたのが玄関!玄関に灯油をこぼした時の対処方法を解説

灯油をこぼしたのが玄関の場合は、少量でも適切な対処が必要です。

玄関内を想像すると、床はコンクリートですが、段差の部分は木材が使用され、玄関の入り口のレール部分は金属で、下駄箱は大抵が木材かプラスチックである事が多いです。

灯油の注意書き
火気厳禁!灯油単体では引火点は低い

冒頭でも解説した通り、灯油は安定した不活性の炭化水素ですが、プラスチックや木材の塗料には注意が必要で、何度も解説している通りプラスチックは溶剤として働き、物にもよりますが、発泡スチロールなどの柔らかく多孔質の素材の場合、灯油がかかると簡単に溶けてしまいます。

しかも、蓋の部分にかかったら、瞬時に溶け始めて簡単に穴が開いてしまう程です。

この灯油で溶けたプラスチックに万が一火が着いた場合、水で消化してもなかなか消えないタチの悪い素材になりますので、火元には十分な注意が必要です。

ん?まてよ?そういえば灯油が入っている赤や青い容器ってプラスチックだよな??と、疑問が浮かんだ方もいると思います。

これは高密度ポリエチレンやポリプロピレンを使用しており、耐熱性・耐薬品性・耐候性のあるプラスチックの中でも非常に強度が高く、劣化の少ない素材です。

灯油こぼしたら自然発火する?コンクリート・玄関にこぼした時の対処まとめ

灯油をこぼしても40℃を超えて灯油が気化してガス化しなければ、自然発火する事はありません。

灯油は非常に安定した炭化水素で不活性なので、コンクリートにこぼしても化学反応が起こる事は無く、多孔質のコンクリートにしみこんでも何れ揮発するので、一時的に灯油しみが気になる事はありますが、何れ目立たなくなります。

引火点が低く燃えにくいのが灯油ですが、石油由来の成分の為、気化するスピードは速くコップ一杯の灯油が揮発するまでは約1日程度かかると言われています。

玄関に少量の灯油をこぼした場合、放置でも問題ありませんが、多量にこぼした場合は対処が必要です。

かかった場所によっては塗料が剥げたり、溶剤の役目を果たし、プラスチックが変形・変色・劣化する可能性は十分にあります。

灯油を入れる容器についても解説しました。

灯油を入れる灯油缶は、ポリプロピレンや高密度ポリエチレンが使用される事が一般的で、病院でも使用されている耐薬品・耐候性・強度の高いプラスチックですが、完全に劣化ゼロという訳ではなく、灯油タンクは5年前後で買い替える事が推奨されているようです。

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