ネオン管とはそもそもなんでしょう?多くの人が光るもの全てをネオンランプ(ネオン管)と誤認しています。
ネオン管とは、通常真空のガラスチューブにネオンガスが封入されたもののみを指します。
ネオン管が光る理由と、蛍光灯の違いや仕組み、大学の研究テーマでプラズマを選考していた筆者がネオン管を光らせる方法を動作電圧や抵抗の有無について解説します。
ネオン管が光る理由を理解し、DIYに活用しましょう。
ネオン管の仕組みは、放電管ですので、光るには約80-100Vの高電圧回路が必要になります。
ネオン管は、定格以上の高電圧や大電流を流さなければ、ほぼ無限と言っていい程長寿命なデバイスです。
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ネオン管が光る理由を解説!蛍光灯との違いや仕組み。寿命は?ポイント
- ネオン管は放電管ですので、光らせるには家庭用のAC100Vか、交流の高電圧回路が必要になります。
- ネオン管は基本的に長寿命な光デバイスです。定格電圧・定格電流を守って使用する分には壊れる心配はほぼありません。(約80-100Vの交流電源)
- ネオン管は本来ネオンガスを使用するものがネオンランプと呼ばれており、放電させるとネオンガスの色はオレンジから赤色に光る。
- 蛍光灯には距離のある放電をさせる為にヒーターがあり、熱電子を飛ばすがネオン管には蛍光灯のようなヒーターは無いし、放電開始電圧も低い。
ネオン管を光らせるのに必要な電圧と電流を解説する前に、まずはネオン管がどのようなものなのかを簡単に解説します。
ネオン管とは、主に真空のガラス管に封入されたガスが、ネオンガスであるランプがネオンランプです。
封入されるガスの種類によって、発光色が異なります。
一般的にネオンは赤(オレンジ)・アルゴンは紫色ですが、これらは正式にはガス放電管という名前が付けられていますが、一般的に総称してネオン管と呼ばれています。
ガス放電管には、秋葉原のラジオデパートにしかない今は貴重品の展示品があります。
昔は、ネオンランプ内に水銀を入れて、ガラス管内に塗布した蛍光体に電子が当たる事により緑色や青色に発光する珍しいガス放電管もありました。
ネオンランプを放電させるには、通常数千ボルトの電圧が必要になりますが、ガスに圧力を加える事により動作電圧を低く出来るように設計されています。
これはガス圧と電圧に関係するパッシェンの法則によるものです。
一般的なネオンランプの動作電圧は70-80V前後です。電流は3mA前後です。
ネオンランプは、交流電源でも直流電源でも点灯させることが出来ます。
つまり、ネオンランプに極性はありませんが、片側だけ発光させると、片方の電極のみ劣化が激しくなります。
上記の事からわかるように、ネオンランプを点灯させるには少々高い電圧(80V)が必要です。
乾電池や車の24Vバッテリーを沢山つなげれば光りますが、電池の量が多くなり、現実的ではありません。
ネオンランプは12Vで点灯させることは出来ません。但し、3Vや12V電源でも昇圧回路等を組み合わせれば簡単に点灯させる事が出来ます。
ネオン管の光る寿命はどのくらい?蛍光灯やその他のデバイスと比較してどうなのか
ネオン管の寿命は数万時間と言われています。基本的に殆ど無限です。
続いて、ネオン管と似たようなデバイスについて紹介します。
ネオン管と似たようなデバイスは、写真のようにグローランプがあります。
これも放電管の一種で、ネオン管と似ていますが、仕組みが異なります。
放電色は紫ですので、中に入っているガスはアルゴンガスですし、グローランプにはバイメタルという熱で変形する金属がついて居ます。
放電の熱で接点がくっついたり離れたりを繰り返します。
他にも放電管には蛍光灯がありますが、これは仕組みが全く異なります。
蛍光灯は、放電させる距離が長いことや、放電しやすくさせる為に水銀が入っています。
また、放電をしやすくするために、電極部分には電子をより飛ばしやすくするためのヒーターがついて居ます。
他にも、蛍光灯には水銀で発生させた紫外線を可視光に変換する為の蛍光塗料が、管内壁に塗布されています。
ネオン管とかなり似たデバイスに、CCFL(冷陰極管蛍光ランプ)があります。
これは初期のガラゲーの照明(バックライト)として使われていましたが、蛍光灯のように熱電子放出機構を持たない照明で、熱電子を放出しない代わりに超高電圧300V前後での印加電圧が必要です。
ネオン管は現在では低消費電力のLEDに代わり、過去の遺物となりつつありますが、制作コストが安いので、パイロットランプなどとして家庭用のスイッチのON・OFF確認用に使用されています。
ネオン管が静電気だけで光るってホント!?どうやったら光るか実験してみよう
静電気の平均的な電圧をグーグルで調べてみましょう。
静電気の放電は、約3000~3万ボルトと言われています。ネオン管の動作電圧は80V前後ですので、光る事が分かります。これだけの高電圧で故障しないのは、流れる電流が一瞬だからです。
ちなみに、静電気除去グッツで触れると光るものがありますが、初期のものは殆どネオン管を利用しています。
他にも面白い実験として、電子ライターのプラズマでも光りますし、ガスコンロなどの放電でも光ります。
余談ですが、ネオン管には次のような性質があります。
電極の回りだけが発光する。マイナス電極だけが発光する。(両方とも光っているように見えるのは交流電源だから)。発光していない時の抵抗は無限大(放電を始めると極端に低下する)。
実験用のネオンランプの部品はサトーパーツさんが有名です。
サトーパーツで販売しているネオン管は、ブラケットと呼ばれ、各パネルにネオン管を装着しやすい構造になっております。
構造の一部には、ネジが使われており、ネオンランプの躯体のフランジと、取り付けるボディーをネジで裏から挟み込むことで固定できるようになります。
また、中には動作電圧に応じた抵抗器が封入されている商品も数多く販売されていますので、基本的に必要な電圧を印加するだけで、ネオン管を点灯させる事が出来ます。
ネオン管を、テスラコイルで発生させた高電圧の静電気で光らせる実験も行っていますので、興味のある方は是非ご覧ください!
制作するのは少々大変ですが、テスラコイルがあるとプラズマ(静電気)を使って、ネオン管を点灯させたり、蛍光灯を点灯させる事が出来てとても面白い実験が出来ます。
ネオン管を光らせるのに抵抗が必要な理由は?抵抗が無いとどうなるの?
ネオン管は、仕様に書かれている動作電圧の範囲内であれば抵抗が無くても光ります。
例えば画像で使っているパッケージタイプのものは、最大動作電圧が220Vと書かれていますので、220Vを印加する時に適正な電流を流すために抵抗が接続されます。
適正な範囲内の印加電圧で使用する分には抵抗は必要ないが、100V-220Vのように電圧が大きくなれば、流れる電流が増大して過負荷となるので、適正な電流を流すための抵抗が必要になる。
家庭用電源である100Vでネオンランプを点灯させようとした場合、100KΩ(1/4W)の抵抗を準備しましょう。
100Vで点灯=抵抗は100kΩ(1/4W)を接続。
必要に応じてネオン管に接続する抵抗を計算したい場合は次式で求める事が出来ます。
\[\displaystyle \text{電流設定抵抗値(R)}=\frac{\text{定格維持電圧(V) – 放電維持電圧(V)}}{\text{ネオン管に流す電流(A)}}\]※数式がはみ出す場合は横スクロール可能です。
式を用いて計算しなくても、普通にパイロットランプで使用する場合は、100Vか海外の220V位しかないので220Vで使用する場合は、220KΩ(1/4W)のどちらかです。
220Vで点灯=抵抗は220KΩ(1/4W)を接続。
検証していないのでわかりませんが、あまりの高電圧で放電させようとした場合、極端に寿命が縮むのは勿論、沿面放電するか内部には高圧ガスが充填されている為、衝撃でガラス管が破裂する可能性がある事は容易に想像がつきます。
ネオン管は電極に極性が無いので、交流の場合でもLEDのようにダイオードを取り付けて保護する必要がありません。
基本的にはたったこれだけでネオン管を点灯させる事が出来ますが、発光ダイオードのLEDとは異なり、動作電圧が高いので、取り扱いには十分注意して実験を行ってください!
高電圧は、取り扱いを間違えると怪我や感電の危険を伴います。
基本的に、ネオン管と言えば、上記の回路の実体配線図に記載した外観の物で、動作電圧は80V前後ですが、カメラのフラッシュの部分もいわば放電管ですし、CCFLも似たような放電管ですが、封入されているガスや、電極間距離がネオン管とは全く異なるので、印加電圧は大きくなります。
ネオン管を点滅させるにはどういう回路が必要か
ネオン管は、パイロットランプの様に常に点灯させる基本回路から、応用としてクリスマスツリーでおなじみの点滅させる動作が一般的です。
ネオン管を点滅させるには、抵抗とコンデンサーで構成された充放電回路を用いる必要があります。
電子回路において、通常何かの点滅動作をさせる回路を製作する場合、マルチバイブレーター回路やタイマーICを用いて制作するのが一般的ですが、交流電源の場合はそのような複雑な回路を用いなくても、単にコンデンサーと抵抗の基本的な組み合わせだけで再現する事が出来ます。
基本回路構成をご覧ください。
100Vと記載のある部分は、100V電源でRは抵抗です。
Cはコンデンサーで、Neはネオンランプの図記号を表しています。
点滅の基本原理はとてもシンプルで、抵抗Rを通じてCに交流電圧が印加されると、コンデンサーは徐々に印加電圧付近まで電圧を上げていきますが、ネオンランプの放電開始電圧80V前後になるとコンデンサーが放電し、ネオン管に放電電圧が与えられます。
コンデンサーは放電すると、電圧が0V付近まで低下するので、放電終止電圧付近になるとネオン管の放電が止まります。
ネオン管の放電が終了すると、再び抵抗Rを通じてコンデンサーが印加電圧付近まで充電され始め、その手前のネオン管の放電開始電圧付近でコンデンサーが放電する。
この繰り返しで、ネオン管ベースのクリスマスツリーは点滅しています。
RとCの値を適当に変えてやれば、点滅の間隔をずらすことも出来ます。
回路図上の部品には、プラスマイナスは存在せず、部品の配置させ間違えなければ、問題なくネオンランプを点滅させる事が出来ます。
ネオン管を扱う注意点は?
ネオン管は、ほぼ無限ともいえる長寿命のランプですが、扱う上での基本的な注意点を確認する必要があります。
ネオン管は、全てガラス管で出来ていますので、取り扱い方法を間違えると割れますし、今では製造されていませんが、水銀入りのランプは有毒です。
動作電圧を守って使用する分には問題ありませんが、仕様を超えての電圧で動作させる場合は、電圧に見合った抵抗を選別する必要があります。(抵抗を選別しないで抵抗なしで点灯させた場合、寿命低下の原因となるが商用電源の場合はそこまで神経質になる必要もない)
また、ネオン管は動作電圧が高いため、100Vでの電圧が基本となりますが、家庭用の100V電源は感電やショートなどの危険があるので、絶縁スリーブを利用したり、基盤に固定するなどの十分な配慮が必要です。
ネオン管を接続する為の道具類は?すべてダイソーで揃う材料でOK!
ネオン管の点灯回路を製作するのに、何の道具が必要か気になった方もいると思います。
道具や接続の方法については、下記の記事が詳しく書かれていますので、ダイソーで必要な道具を揃えて実際に組み立ててみましょう。
他の記事でも解説していますが、ちょっとした部品を接続する位なら、ダイソーの半田ごてでも十分機能しますが、本格的にハンダ付けを行う場合は、様々な状況に対応できるように、温度調整機能付きの半田ごてを購入する事をおすすめします。
ネオン管が光る理由を解説!蛍光灯との違いや仕組み。寿命をまとめ
最後にネオン管が光る理由と、抵抗が必要な理由を纏めます。
ネオン管は、内部にネオンガスを利用していますが、ネオンガスの放電はオレンジまたは赤色の光で発光します。
ネオン管の動作電圧は約80V前後で点灯しますが、100Vや220Vの電圧で点灯させる場合は、電流を安定させるために抵抗が必要です。
100Vで点灯させる場合は、100kΩ(1/4W)。220Vで点灯させる場合は220KΩ(1/4W)の抵抗が必要になります。
抵抗を無くして高電圧で放電させ続けた場合は、極端な寿命の低下を招く原因となりますので必ず抵抗は入れましょう。
ネオン管を点滅させる回路は、抵抗とコンデンサーの充放電回路で実現できます。
今回紹介した回路内容では、全ての部品の極性がありませんので、部品のプラスマイナスを気にすることなくハンダ付けする事が出来ます。
お勧めは、少々高価ですがフィルムコンデンサーなどが容量が大きく、コンデンサーの点滅をフレキシブルに操作可能です。
自分で抵抗とコンデンサーの値を色々工夫して、どのように点滅するのか確認してみるのも、電子工作の醍醐味です。
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