ガラケーの時代に、懐かしい光るアンテナがありました。
この着信すると光るアンテナを現代のスマホ iPhone・Androidでも光るアクセサリーのように、自作する方法を元電気電子工学科の筆者が解説します。
自作のものは、ガラケーのストラップのように小さくするのは難しいですが、今回の記事を見ながら実際に作ってみる事で電波の受信の大まかな仕組みを学ぶことが出来ます。
部品もLED・ダイオード・コンデンサー・コイルの4つだけで制作出来、電源もいりませんのでお子さんの夏休みの自由研究のテーマとしても最適です。
着信で光るストラップの仕組みは、空中の電波をダイオードで検波して、コンデンサーに蓄えて取り出しています。
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記事の要約とポイント
- スマホの光るアンテナに必要な部品はたったの4点で構成されている。(ダイオード・コンデンサ・LED・コイル)
- ガラケーよりも電波出力の弱いiPhone・Androidでも自作なら光らせる事が出来る!
- 基本的な仕組みはコイル内に電波が通過する事により発生した誘導電流をダイオードで整流後、コンデンサーに貯めてLEDを光らせている。
- 最低限必要な工具はニッパー・半田ごて・ハンダのみでOK。
自作したスマホのアンテナが光るのはなぜ?仕組みを解説
冒頭のポイントでも少し触れた通り、このiPhoneでも光るアンテナの仕組みは、空中に飛んでいる電磁界を利用して光るアンテナストラップアクセサリーを光らせています。
空中に飛んでいる電波は、電界と磁界がセットになって波状に進んでいます。
この電磁界をコイルで捉え、コイルで発生した誘導電流をダイオードで半波整流したのち、コンデンサーに貯めてLEDに流します。
WithNewsさんで、昔なつかしいガラケーの光るアンテナの写真がありましたので、引用させていただきました。
当時はこんなアンテナがピカピカひかってましたよね!今では珍しくなってしまいましたが。
スマホの光るアンテナを自作するには?
コンデンサー
ダイオード
コイル
LED
スマホの光るアンテナを自作する場合は、ダイオード・コンデンサ・コイル・LEDの部品で、Android・iPhone端末で受信した電波を、ガラケーの着信で光るストラップのように光らせる事が出来ます。
- LED(ライトエミッティングダイオード)
- ダイオード(電流を一方方向にしか流さないデバイス)
- コイル(発生した電磁界のエネルギーをコイルで取り出す)
- コンデンサー
- スマートフォンAndroid/iPhoneのアンテナは内臓されている
LED(ライトエミッティングダイオード)
ダイオードの部品と仕組みは似ていますが、これは光を放つデバイスです。
LEDにはプラスとマイナスの端子があり、接続時に間違えないように+端子が長く、−端子が短く作られています。
間違えて逆電圧をかけると、LEDが破損する原因になります。(ダイオードにもプラスとマイナスがあります)
また、LEDは電流制御で流せる電流や電圧が決められています。
通常の豆電球との違いを簡単に解説すると、LEDは半導体の一種です。
豆電球は単に電線の抵抗を利用して、その熱が光に変わりますが、電線が早く燃焼しないように、通常中は真空に保たれています。
LEDは豆電球と違い、低損失で商品電力が少なく低電圧駆動出来、デバイス自体も小型化出来ますので、このような回路に最適です。
カネクラさんの画像にもあるように、LEDは様々な色を組み合わせて使用する事が出来ますし、点滅回路が無くても単体で点滅するLEDも存在します。
ダイオード(電流を一方方向にしか流さないデバイス)
先ほどのLEDの部品と少々似た動作をするのがダイオードです。
水道のバルブに例えると、まさにチャッキバルブ(チェックバルブ)と一緒です!水と一緒で、ダイオードは電流を一方方向にしか流さない役割をします。
水もチャッキ弁を持ち上げるのにある程度水圧が必要ですが、電気の世界のダイオードでは、ダイオードが電流を一方方向に流し始める順方向電圧というものを超えると電流を流し始めます。
ダイオードの順方向電圧は、約0.6Vから動作します。(水の流れの例えが電圧に変わっただけですので簡単です)
ダイオードにもLEDと同じように、流す方向が決まっていますので、当然向きがあります。
ダイオードの場合は端子の長さで、+と-を判別しているのではなく、ダイオードに刻印されている帯で判別します。
帯の白い部分がある方が−端子で、カソードと呼びます。
反対にプラスの部分はアノードと呼びます。
LEDに交流は印加できませんし、コイルには常に安定した電磁界が供給されているわけではありません。
例えば、車のCB無線や雷などで発生した強いサージよって、LEDの定格よりも高い電圧が印加されると簡単に故障します。
この回路におけるダイオードの重要性を纏めると、ダイオードはLEDに常に同じ向きで電流を流すために重要な部品という事です。
ダイオードにも種類が色々ありますが、ここで使用するダイオードは電源周りに使用される耐圧の高いものではなく、小信号用の順方向電圧降下の低いダイオードを使用します。
光るアンテナは、取り出せるエネルギーが小さいため、小信号ダイオードを使用しています。
LEDも+端子・−端子という他に、アノード端子・カソード端子と言った呼び方をされる場合もあります。
これまでは部品についての詳細でしたが、何故光るアンテナにはダイオードが必要なのかをもう少し詳しく解説します。
LEDには+端子と-端子があり、電圧をかける方向に向きがあると解説しましたが、その向きを逆にすると故障する可能性がある事も解説しました。
LEDには極性がありますので、きちんと向きに合せて電流を流してやらないと光りません。
ダイオードという部品は、米粒くらい小さいので大きな画像が無いか探したところ、丹青通商さんで大きなダイオードの画像を載せていたので、引用させていただきました。
青い帯が付いている方が、マイナスの端子になります。
コイル(発生した電磁界のエネルギーをコイルで取り出す)
続いて、光るアンテナのコイルの役割を解説します。
コイルからエネルギーを取り出すには、コイルに電磁界を通過させる必要があります。
この電磁界は波なので、プラスとマイナスの極性が一定周期ごとに変化します。
すると、コイルから取り出す電流も、プラスマイナスが一定周期で変化する交流電源になるという事です。
コイルにiPhoneやAndroidのスマホで発生した磁界を通すと電流が流れます。
コイルは直流は良く流す部品ですが、交流では抵抗のよう働きをします。
コイルを自分で様々な大きさや形にして実験してみると、LEDの光り具合も変化して面白いです。
コイルは少ないよりも、多くまいた方が取り出せるエネルギーも大きくなります。
実験では、モンスターエナジーのような、エナジードリンクの空き缶や、塩ビ管に銅線を50回巻きつけてコイルを制作しました。
コンデンサー
コンデンサーが無くても一応点灯はしますが、あった方が良いです。
コンデンサーは、コイルで発生した交流をダイオードで半波整流した後に、コンデンサーに貯める事によって光る時間を延長してくれます。
LEDにかかる電圧は半波整流されていますので、おおざっぱに説明すると一定時間点灯して一定時間消灯する周期を繰り返すわけです。
これをコンデンサーに一旦蓄電する事で、バッファのような働きをしLEDの視認性を良くします。
水のタンクと一緒で、断続的に蛇口を開閉してそのまま水を流すよりも、一旦何かタンクに貯めて水を流した方が流れはある程度平均化できますよね?
その現象とコンデンサーの役割は似ています。
コンデンサーも様々な種類があり、今回の工作で使うものは耐圧が大きく容量も大きなフィルムコンデンサーを使用しています。
フィルムコンデンサの耐圧は、250V~400Vあれば問題ありません。
以下のようなフィルムコンデンサーセットを購入して、コンデンサの容量に応じて光るアンテナの点灯状態がどのように変化するのか観察してみましょう。
スマートフォンAndroid/iPhoneのアンテナは内臓されている
ガラケー時代の携帯電話は、アンテナが露出していましたが、スマートフォン(iPhoneやアンドロイド)等のスマホは何処にアンテナはどこにあるのでしょうか?
iPhoneやAndroidはアンテナがなくなったわけではなく、本体の基盤に小さなものが内蔵されています。
アンテナの送受信の出力は、ガラゲー時代より下がっていますがアンテナの性能は向上し、ガラケー時代よりも低消費電力で動作できる仕組みになっています。
アンテナが内蔵されているので、当然ガラケー時代に流行ったアンテナをiPhoneやアンドロイドのスマートフォンで使用する事は出来ません。
余談ですが、こうしたアンテナを光らせる行為は電波の出力の一部を無駄に使用してる事になるので、場合によっては通信に余計な時間がかかったりすることもあります。
着信で光るストラップはかっこよいですが、電波を無駄に消費しているので、通話品質を低下させる原因となります。
その為、街中で基地局が近くにある場所ならまだしも、山中など電波が悪い場所ではさらに通話が難しくなります。
現在のスマホでも使える光るアンテナは、Smile2Color笑顔光るケースで販売されています!しかし、前述した通り、通話品質は低下するので注意が必要です。