イレクターパイプで高強度の棚や物置を自作する方法を、未だ公開されていない完全オリジナルの設計図付きで教えます。
今回の記事を読めば、イレクターパイプDIYに必要な部品から、何故DIYで棚作りやガレージ作りにイレクターパイプが最適なのかを完全理解できます。
今回は工場従事者で、実際に現場でイレクターパイプを使用した豊かな経験から、イレクターパイプDIYや強度のある棚に関する基本をお教えします。
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イレクターパイプで高強度棚を簡単DIY!必要な部品も全て解説ポイント
- イレクターパイプを使えば、室内に工場作業場レベルの強度のある棚や机を自作する事が出来る。
- イレクターパイプで強度のある棚や机を自作したい場合は、専用工具よりチップソー切断機の購入をおすすめ。(沢山カットすると専用工具では時間もかかるし手が疲れる)
- 強度のある棚や机の設計図は手書きでOK。組み立ては六角レンチとサンアローが必要。
イレクターパイプがDIYに選ばれる理由は何故?高強度・耐薬品性
イレクターパイプは主に、DIYでは無く工場の製造ラインで使用される程信頼性と耐久性がある円柱のパイプです。
イレクターパイプは、矢崎計器が製造販売している金属パーツの一つで、工場では製造ラインや検査ラインでとても重量のある計器や、材料、製品を置いて使用しています。
重量物を置いて作業するケースがあるのは勿論の事、工場では時に薬品も使用する事があり、薬品がかかっても錆びたり溶けたりしないような耐薬品性のある部品でなければ使用できません。
このように、あらゆるケースを想定して矢崎が工場向けに制作したものがイレクターパイプなのです。
参考までに大体の強度目安をお伝えすると、500mmの寸法でメタルジョイントを使用して、中心に荷重『負荷』をかけた場合、約160kg前後の重量に耐えられると言われています。
これは、途中に支えや梁が無い状態での強度ですので、梁を付けて中間に支え棒を入れれば、一般的な作業机や棚などには十分すぎる位高強度なものが自作出来ることがわかります。
イレクターパイプは、金属のパイプをプラスチックでコーティングして作られているのが耐久性の高い理由の一つでもあります。
接続方法もシンプルで、金属ジョイントを使用して六角レンチで接続する方法と、プラスチックジョイントを専用接着剤のサンアローで接着する2パターンがあります。
上記の画像の様に、モノを置いたり、人が荷重をかける可能性のある場所にはメタルジョイントを使用して、蛍光灯などの梁の部分はそれほど強度が必要ないので、プラスチックジョイントで作る事をおすすめします。
全てをメタルジョイントで作っても問題はありませんが、材料費がかなり高価になります。
イレクターパイプで棚をDIYする時のアイデアや設計図を作り方を交えて解説
プロフィールにも書いた通り、私はいくつかの工場で勤務経験がありますが、ほとんどと言っていいくらい、生産工程や検査工程のデスクには、矢崎のイレクターパイプが使われていました。
イレクターパイプ+分厚い合板+導電性のグリーンマットというのが大抵の工場でお決まりのパターンでした。
それに蛍光灯を取り付けたり、棚をカスタマイズしたりと、イレクターパイプは幅広く使われています。
私も先輩に教わった技術を生かし、自分だけのオリジナルデスクを作りましたが、一つ個人では入手できないパーツがあり、それがグリーンマットです。
グリーンマットは、電子機器を取り扱う上でクッション性も高く、物書きもしやすく事務用途にも使える非常に便利なマットですが、個人で手に入れるのは非常に難しい事がわかりました。
自分も机をDIYした時にそろえようと思いましたが、個人のカットに対応している店舗が無く、1巻10万くらいするものしか販売されていませんでした。
工場で沢山使う場合にはお買い得ですが、個人で机一つ作るのに1巻は無駄すぎますので、残念ながら購入を諦めました。
机の参考にしたデザインは、ネットと直近で勤めていた工場のデスクを参考にしました。
総製作費は5万円位かかったでしょうが、ニトリで自分に合わない適当な机を買うよりおススメですし、イレクターパイプで作った机はベースがほぼ金属ですので丈夫ですし、アイデア次第で無限のカスタマイズが可能な点も魅力的ですし、無骨な見た目も好きです。
何より全て自分の背格好を基準に設計したため、足を組んでも立って作業しても座って作業しても全く違和感がありませんし、疲れません。
直近の工場では、検査工程などは女性が大半を占める事から、机は女性の高さに合わせて設計されていましたが、よほど背の低い男性でない限りは、工場で検査工程に関わると首や背中が痛くなります。
イレクターパイプは専用のカット工具があるのですが、正直あまりお勧め出来ず、2,3本カットする位ならまだしも、この規模になるととても手動のカット工具では体力が持ちませんし、私も初めて手動のカット工具を使った翌日は必ず前腕が筋肉痛になったのを覚えています。
それに、手動のカット工具で切断するよりも、チップソー切断機を使った方が切断面も綺麗です。
下記の記事のブログカードを見ていただくと分かりますが、チップソー切断機を使用して塩ビパイプを斜めカットした時の画像です。
カットして何の処理もしなくてもこの綺麗な切断面になりますし、チップソー切断機は一つの刃で塩ビパイプ、単管パイプ、鉄パイプ、イレクターパイプなど様々な種類のカットに対応可能です。
イレクターパイプで机を製作するなら高速切断機かチップソー切断機が必須です。
自分はチップソー切断機が自宅にありますが、チップソー切断機は高速切断機より切断面が綺麗なのでおススメですが、高速切断機はあくまで材料を大量に早く切断するのが目的なので、基本角度のある切断は出来ずDIY用途での幅も限られます。
ちなみに、チップソー切断機は”絶対にマキタ”がおススメです!工場や自宅で数多くの種類のチップソー切断機を使ってきた著者がおススメしているので間違えありません。
工具は迷ったらマキタ!高いですがマキタを選んでおけば間違いないです。
安いと飛びついてアースマン等のチップソー切断機を購入した後に、マキタのチップソー切断機を使うと、その使い勝手や制度の悪さに驚きます。
固定の方法等がマキタとは全然異なり、チップソー切断機のメーカーによっては、イレクターパイプの表面に固定金具の傷がつくことがありますが、マキタならそのような心配もありません。
アマゾンのレビューはそれほど悪くはありませんが、実際に仕事で様々なメーカーのチップソー切断機を使用した経験からすると、どうしてもアースマンは構造上、マキタなどに比べてカット制度が良いとは言えません。
チップソー切断機でイレクターパイプをカットしたら、組み合わせる継ぎ手や接着剤が必要なので、先ずは接着剤について説明します。
この接着剤は、サンアローと呼ばれ、イレクターパイプのプラスチック部分を溶かして材料同士を接合します。
似たようなもので、塩ビ管を接着する為の接着剤でエスロンがありますが、これはまた別の接着剤ですので、間違いないように注意しましょう。
エスロンについては下記の水道管の基礎知識講座の記事で解説していますので、是非ご覧ください。
次に主要な継ぎ手部分ですが、プラスチックのものと、メタルのモノがありますが、ラックを作ったり机を作るのであれば金属製品一択です。
プラスチックの継ぎ手は安いですが、よほど力のかからない用途以外には使えません。
イレクターパイプDIYに必要な材料と道具は?
上記では、イレクターパイプが使用される背景や道具や材料について簡単に解説しましたが、次項で実際に使用する材料や、道具の詳細について解説します。
尚、イレクターパイプは矢崎が開発製造しているものです。
イレクターパイプ本体
イレクターパイプ本体ですが、φ28の物が一般的に使用されており、どのホームセンターでも一般流通しています。
工場で作業用の棚や机を使用する時も、φ28でそれ以外のサイズを今まで使ったことも見たこともありませんが、矢崎では用途に合わせて他のサイズのイレクターパイプも用意されているようです。
イレクターパイプジョイント
イレクターパイプのジョイントは、大きく分けて二種類存在し、プラスチックジョイントとメタルジョイントです。
主な用途としては、冒頭でも解説した通り、メタルジョイントに比べてプラスチックは耐久性が少ないので、悩むより2パターンに分けて使い分けを想定すると簡単です。
棚や机などの基本的な強度を必要とする場合は、メタルジョイントで、プリンターやHDD、パソコンラック程度でしたらプラスチックジョイントで十分です。
先ほどメタルジョイントの強度は、500mmのパイプの中心に負荷をかけると、約160kgの耐荷重でしたが、プラスチックジョイントの場合は120kg位と覚えておきましょう。
イレクターパイプの接着剤はサンアローを使用!溶かして接合
イレクターパイプは、サンアローという接着剤を使用して母材同士を溶かして接合しますが、この点は塩ビパイプと似ており、イレクターパイプの接着剤はサンアローで、塩ビパイプはエスロンを使用します。
カインズ・コーナン等のホームセンターのイレクターパイプコーナーには、必ず置いてありますので、メタルジョイント使用せずに、プラスチック部品を接合する場合は一本用意しておきましょう。
付属の注射針で、ほんの少し隙間にたらし込むだけなので、一本あればDIY用途には十分すぎます。
六角レンチはメタルジョイントの締め付けに使用する
イレクターパイプとジョイントを接続するときに使用するのが、5mmの六角レンチです。
サイズが同じ六角レンチであれば何でもよく、5mmの六角レンチはニトリで家具を購入した時によく使われる規格でもあるので、買う前に一度探してみましょう。
イレクターパイプの切断工具にはチップソー切断機がおすすめ!チップソーしか勝たん
切断工具に関しては専用工具がありますが、棚や机レベルで多くのカットが必要となると、やはり切断工具は準備しておいた方が良いと思います。
チップソー切断機を使うと、早くて切り口もバリが少なく綺麗なのでお勧めします。
イレクターパイプの棚や作業机をDIYする時の設計図は?
設計図と言っても、私が制作した作業机の設計図をそのまま載せても読者には当てはまらない事が殆どだと思いますので、設計図になりうる作業のポイントをお教えします。
特別厳密に寸法を測って作らなければいけない場合を除いては、基本的に私は材料の端数や半端が出ないように気を付けて棚や机を設計しています。
材料を無駄なく使いたいという事は勿論ですが、無駄な作業時間や制作工数を減らす為でもあります。
尚、ホームセンターで販売されている、イレクターパイプの寸法を載せておきますのでDIYの参考としてください。
30cm・45cm・60cm・90cm・1.2m・1.5m・2m 2.5m・3m・4m
- STEP1製作する空間を把握する
制作する机や棚の寸法をまずは頭に入れてください。
- STEP2材料の最大寸法を把握する
イレクターパイプの最大寸法は4mmです。
- STEP3使用できる材料の最大寸法を検討
使用できる空間からイレクターパイプの最大寸法を割り出し、それをそのまま加工なしで使用する。(例:部屋の寸法が4mm位なら最大寸法3mmのイレクターパイプを使ってフレームが作れないか考える)
- STEP4他の材料と統合して考える
使用する天板のOSB合板は910×1280なので、1.2mと2mのイレクターパイプを使用して加工なしにうまく天板のフレームと出来ないか考える
- STEP5細かい寸法部分は加工する
全てイレクターパイプの規格や他材料との整合性を取りながら無駄なく材料を使う事は基本的には不可能と考え、材料の加工は必要最低限にとどめる。(自分の背格好を基準にした場合など)
イレクターパイプの台車をDIY!工場では定番のイレクター台車
下記のような台車も、工場ではもはや定番中の定番で、今回は棚板としてコンクリート型枠用の合板を使用していますが、工場ではブルーの板でパロニアというものを使用するのが一般的です。
上記のものと簡単なOSB合板があれば、簡単な机や作業台であれば30分位で完成します。
川根ラボではこういったDIYの小さな仕事も請け負いますので、同じような作業机が欲しいとか、作り方をアドバイスしてほしいなどのご依頼を有償にて承ります。
イレクターパイプのおススメの小技集
最後に私がおすすめする、工場仕様の棚や机のイレクターパイプDIYの小技を紹介します。
実際に工場でも何度か制作事例があり、好評ですので皆さんもお試しください。
机や棚のコーナー部分は、角が危険なので丸める方法もありますが、事故防止の為出来れば上記のようなコーナー保護のクッションをブチル両面テープで取り付けると安全です。
ブチル両面テープに関する記事はこちらをご覧ください。
かなり強力な両面テープで、柔軟性があり様々な素材に追従して張り付きますのすので、コーナー保護のクッション接着に最適です。(取り外した跡が若干べとつくのがデメリットです)
天板が正方形でははめる事は出来ないので、寸法をイレクターパイプのフレームの外径と併せる為には、コーナーをカットする必要があります。
イレクターパイプの外径がφ28ですので、28mmで必要な四隅をカットしましょう。
工場での検査工程では特に照明が重要で、傷や検査漏れを無くすために、LED照明付きの拡大鏡を使用して検査工程を行いますが、照明を取り付けるにあたり必要な作業が配線です。
配線に関しては、電気工事士の資格を所持した上で行う必要があります。
工場ではVVFケーブルを使い、差し込み型コネクタまたは上記のような圧着端子を使用して、配線するのが定番ですが、接続した線は、インシュロックでたるまない程度の長さで固定します。
余談ですが、インシュロックでのパイプへの固定や、ジョイントボックスなしでの配線は、あまりお勧めしない配線方法です。
本当は配線同士の接続部分には、ジョイントボックスを設けないといけないルールですが、大抵の工場ではこの材料で保護されていません。
もし、配線が抜けたり、水のような液体がかかってしまった場合は、ジョイントボックスが無いとショートする可能性もありますし、表面はプラスチックコーティングされたイレクターパイプですが、何らかの原因で一部が剥げているとインシュロックで固定した場合、ショートの危険があります。
ひっかかってズレると故障の原因になりかねないHDDの配線や、精密機器の配線は、工場でもインシュロックでしっかり固定されて、遊びが無いようにまとめられています。
この他にも、可動式のジョイントもありますので、このジョイントを使ってT『チーズ』を連結すれば、可動式のペン立て等も制作する事ができます。
いかがだったでしょうか?単管パイプDIYと同様に、イレクターパイプでのDIYも初心者向けでありながら、作り方によっては工場で使用するレベルの高耐久性のある棚や机を製作する事が出来ます。
使用する材料も、単管パイプと同様にほとんどのホームセンターで取り扱いがありますので、皆さんも今回のアイデアと制作事例を参考に是非チャレンジしてみてください。
尚、単管パイプでの棚や机のDIY制作に関してはこちらの記事をご参照ください。
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