パーツクリーナーは石油系溶剤なのでプラスチックは溶けますし、ゴムはも劣化し、割れる可能性も大きな成分ですが、汚れを落とす効果は大きいので、プラスチックにマスキング処理を行ってからパーツクリーナーを吹きかければ問題ありません。
プラスチックにステッカーを張り付ける場合、脱脂処理としてプラスチックにパーツクリーナーを使う場合は、洗浄力が強すぎて溶ける可能性があるので、プラスチックの脱脂に使えるシリコンオフを使用して、プラスチック表面の劣化を防ぐ事が出来ます。
その他の方法として、プラスチックはアルカリに耐性があるので家庭用の洗剤も代用可能ですが、車用の専用洗剤が販売されており、極力パーツ類を傷めない成分となっているのでおすすめです。
本記事では、塩ビ管やプラスチックにパーツクリーナーを吹きかけて、パーツクリーナーがプラスチックに与える影響と、時間ごとの変化を観察します。
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パーツクリーナーでプラスチックは溶けるしゴムも劣化!割れる可能性ポイント
- パーツクリーナーの成分は石油系溶剤なので、プラスチックを溶かし、ゴムも劣化する可能性が大!マスキング処理をすれば洗浄力の強いパーツクリーナーでもOK。
- プラスチックの脱脂処理で、石油系溶剤を使用するならシリコンオフ。これならプラスチックが劣化したり割れる可能性を抑える事が出来る。
- パーツクリーナーが無い場合は、家庭用の中性洗剤で代用可能だが、極力車・バイク用の洗剤を使う事をおすすめする。
パーツクリーナーでプラスチックやゴムが溶ける・割れる・劣化する!
冒頭でもお伝えした通り、結論から言ってパーツクリーナーでプラスチック・ゴムパーツは溶けますし、劣化もします。
長期間放置すると割れる可能性もあるので、パーツクリーナーでプラスチックやゴムの洗浄を行いたい場合は、養生をしっかり行うか、プラスチックやゴムでも劣化しないシリコンオフを使用して洗浄する必要があります。
その他の一般家庭出来るパーツクリーナー以外の洗浄方法については、下記で順次解説していますので、最後までご覧ください。
では、実際に実例を交えて本当にパーツクリーナーがプラスチック製品に影響を及ぼすのかを確認してみたいとおもいます。
![パーツクリーナー裏面](https://jpprepper.com/wp-content/uploads/2024/05/parts-cleaner-side-1024x768.webp)
まずは、パーツクリーナーへの注意点から!使用する溶剤も、溶剤を噴霧する為の高圧ガスもLPGという可燃性ガスを使用していますので、換気や火器には十分注意して作業してください。
パーツクリーナー VS 透明プラスチック
パーツクリーナーと最も石油系有機溶剤の影響を受けそうな、透明のプラスチックの影響を調べてみます。
結果ですが、対して面白いものではなく、1h程度放置しても特に見た目は変わりませんでした。
このプラスチックの成分が何なのかはわかりませんが、プラスチックの種類によっては影響を受けにくい種類も存在するのかもしれませんし、1h程度ではなくもっと浸す必要があったかもしれませんが、パーツクリーナーの仕様上、直ぐに揮発してしまうので数時間後の様子は分かりません。
![パーツクリーナーVSプラスチック](https://jpprepper.com/wp-content/uploads/2024/05/plastic-vs-parts-cleaner-1024x768.webp)
![パーツクリーナーの影響を受けてない!](https://jpprepper.com/wp-content/uploads/2024/05/plastic-vs-parts-cleaner-after-1024x768.webp)
パーツクリーナー VS 塩ビ管(PVCパイプ)
塩ビ管なんて分厚いし特になんともないだろうと感じていましたが、まさかの結果です!
今回は、油汚れではなく泥で汚れた塩ビパイプですが、これにパーツクリーナーを吹きかけてタオルで拭いた所、汚れと一緒に文字までカスレてきてしまいました!
塩ビ管の接着剤のエスロンも石油系の接着剤で、塩ビ管同士を溶かして接着するので、パーツクリーナーには特別弱そうに感じます。
![パーツクリーナーVS塩ビパイプ](https://jpprepper.com/wp-content/uploads/2024/05/pvc-pipe-vs-parts-cleaner-1024x768.webp)
![塩ビ管VSパーツクリーナーで文字が消えた](https://jpprepper.com/wp-content/uploads/2024/05/pvc-pipe-vs-parts-cleaner-after-1024x768.webp)
パーツクリーナー VS 錆と油でベトベトの草刈り刃
一番汚れが落ちそうと期待していたのですが、結果は散々でした。
まぁ、器械油は完全に落ちましたが、流石に錆びまでは落ちませんでした。
パーツクリーナーは汚れ落としではありますが、あくまで油汚れがメインでさび落としが出来るわけではありませんので、この位錆びて汚れてくると、薬剤で洗浄するより、グラインダーで磨いた方が早いでしょう。
![パーツクリーナーVS草刈り刃](https://jpprepper.com/wp-content/uploads/2024/05/fe-vs-parts-claner-2-1024x768.webp)
下記の二枚の写真は、左が油でベトベトの状態で、右がパーツクリーナーを吹きかけて磨いた後ですが、見た目に殆ど変化はありません。
ただ、触ると油が明らかに落ちている事が分ります。
![洗浄前の草刈り刃](https://jpprepper.com/wp-content/uploads/2024/05/fe-vs-parts-claner-after-1024x768.webp)
![パーツクリーナーで洗浄後の刃](https://jpprepper.com/wp-content/uploads/2024/05/fe-vs-parts-claner-1-1024x768.webp)
洗浄力の違い!速乾・中乾・遅乾でパーツクリーナーの使い分け
パーツクリーナーには、液体タイプの他、クリーム状のものや、速乾・中乾・遅乾タイプが存在します。
それぞれの使い分けについて解説します。
今回画像で使用しているのが正に速乾タイプで、吹き付けると同時に汚れと脱脂を行い直ぐに乾きますので、ふき取りの手間がかからない分、作業時間の短縮になります。
軽い油汚れをさっと洗浄し、パーツを直ぐに取り付けたい時に重宝するのが、速乾タイプのパーツクリーナーです。
中乾タイプのパーツクリーナーは吹きかけてから乾くまでの時間が、速乾と中乾、遅乾の中間で、洗浄力とふき取りの手間の間を取った製品で、シリコンオフがこの中乾タイプに当たります。
全くふき取りの手間が無いわけではありません。
遅乾タイプのパーツクリーナーは頑固な油汚れに最も効果的な洗浄力の高い製品で、乾く時間が遅いので、油汚れをじっくり分解して浮かせて完全に汚れを落とす効果が高いです。
遅乾タイプのパーツクリーナーは乾くのが遅く、洗浄力が高い為、その他のパーツに与える影響も大きいです。
特に薄いゴムなどが一緒についた草刈り機のエンジンパーツのキャブレター洗浄には注意が必要です。
洗浄後、しっかりふき取らないと、キャブレターの中でゴムが劣化してエンジン不調の原因となる事があります。
ちょっと変わったパーツクリーナーの使い方ですが、燃料と洗浄を兼ねてパーツクリーナーでエンジンをかける事もあります。
私は学生時代、この方法をクラスの友達から教わりましたが、かからないエンジンのエアークリーナーにパーツクリーナーを吹きかけながらエンジンを始動すると、エンジン内部が洗浄されて調子が良くなることがあります。
パーツクリーナーには、油汚れやカーボン汚れを落とし、汚れを浮かせる界面活性剤も入っていますし、ガスや液体が可燃性なので、エンジンの始動にはもってこいという訳です。
余談ですが、エンジンは意外と様々な物で始動するもので、エタノールをかけても動きますし、パーツクリーナーに入っているLPGガス単体でも始動可能です。
安全面でおすすめのパーツクリーナーがムースタイプ(クリーム状)で、液状に比べて飛散しないですし、引火性が低いのが特徴です。
飛散しにくいので吸い込む事も少なく、ムースタイプのパーツクリーナーであれば、マスク程度で問題なく使用可能です。
更に液だれもムースタイプならば少なく、複雑な形状のパーツにも密着して洗浄してくれるので、部品を取り外す事無く様々な方向から強力に洗浄を行いたい場合におすすめのパーツクリーナーです。
パーツクリーナーに使用されている成分に注意点。人体に有害!
パーツクリーナーに使用されている成分のヘキサンには発がん性があり、大量に吸い込んだ結果生殖機能に影響を与える可能性が示唆されています。
私も工場で働いている時、先輩からパーツクリーナーは発がん性があるから、大量に使うときは外で使えとパーツクリーナーの使用前に注意されたことがあります。
![天ぷら直後VSパーツクリーナー](https://jpprepper.com/wp-content/uploads/2024/05/parts-cleaner-vs-sierra-cup-1024x768.webp)
と、ここまでパーツクリーナーの人体影響について書いておきながら、天ぷらを揚げた直後のシェラカップとパーツクリーナーを戦わせますw
パーツクリーナーは本来、食器用として使用する生活用品に使用するべきではありませんので、当然のことながらパーツクリーナーを吹きかけた後は、何回もしつこいくらい食器用洗剤と水洗いで隅々まで洗って一度お湯を沸かして成分を完全に飛ばしました。
![パーツクリーナーで洗浄したシェラカップ](https://jpprepper.com/wp-content/uploads/2024/05/sierra-cup-after-1024x768.webp)
凄いですね!油汚れに対するパーツクリーナーの効果を100%発揮しています。
まるで洗剤で洗った直後の様に、全くべとつきませんし、洗剤で洗った後特有のヌルヌルした感じも無く、とても綺麗になっている事が分ります。
但し何度も書きますが、油汚れが簡単に落ちるからとパーツクリーナーを食器に使うべきではありません。
下記の医師が回答できるQAサイトにも、パーツクリーナーの人体影響や、パーツクリーナーで手の油汚れ落としに使用した女性が、皮膚炎になって相談したケースを掲載します。
QAの内容を見てわかる通り、パーツクリーナーの成分は『接触性皮膚炎』による水ぶくれが起きる可能性がある事が分ります。
![](https://assets.askdoctors.jp/assets/green/ogp-image-8b791f93c74f88dcb5e867d97b6f7921164420843df48cea0cfa2a1ddd93f484.jpg)
私も、油だらけのパーツを触ってベトベトになった手をパーツクリーナーで洗浄した事がありますが、上記の女性の様に酷くはならなかったものの、手についた器械油は勿論、自分の手の脂まで落ちてしまい手がガサガサになったことがあります。
また、パーツクリーナーに使われるヘキサンは、生殖機能に影響を与え発がん性があるとの事なので、防毒マスクを着けるなど大量に吸い込まないように注意しましょう。
パーツクリーナーの主な成分は、シクロヘキサン・トルエン・シレン・アセトンで、油汚れやカーボン汚れを溶解する役割があります。
また、パーツクリーナーより洗浄能力は劣りますが、エタノールはゴムやプラスチックに与える影響は少なく、どこの家庭にもある為、少しの油汚れや脱脂であれば、エタノールで代用するという方法もあります。
近年、注目されているパーツクリーナーの成分はフッ素で、安全性が高く環境負荷が低いとされていますが、価格がとても高価です。
金属用のパーツクリーナーには、添加剤として金属の防錆剤や、汚れと油、水を混ぜて浮き上がらせてくれる役割を担っている界面活性剤が含まれています。
上記の成分を噴射する為のガスとして、LPG(液化石油ガス)は一般的な成分で可燃性の為、火器のある場所でパーツクリーナーを使用すると大変危険であることも分かります。
パーツクリーナー以外を使ったおすすめの洗浄方法!劣化ゼロ
パーツクリーナーはプラスチックを溶かす『石油系有機溶剤』が含まれている事を解説しましたが、もっと手軽にプラスチックを劣化させず、家庭であるものでパーツクリーナーの代用になるものはあるでしょうか?
パーツに優しく汚れを落とすという目的なら家庭用中性洗剤が効果的
複合的なパーツが組み合わさった車やバイク、その他の器械を洗浄するのに特定の成分が強い洗剤を使用すると、プラスチックが劣化しなくても、他のパーツが劣化する可能性があるので注意が必要です。
そこでパーツクリーナーの代わりに安価で、パーツが劣化せず汚れ落としに役立つのが、家庭用の中性洗剤です。
車やバイクであれば、大抵の場合専用の洗剤が存在しますが、中性洗剤であれば特定のパーツへの劣化を極力抑えて汚れを落とす事が出来ます。
但し、家庭用高級洗剤には手荒れ防止の為、ヒアルロン酸等、機械やパーツには全く関係ない余計な成分も入っている事があるので注意も必要です。
油汚れは定番のアルカリ性洗剤が洗浄力抜群!ハイターの脱脂効果
部品を取り外して洗浄できるなら、定番のアルカリ性洗剤が油汚れには効果抜群でしょう。
但し、アルカリ性洗剤の場合、どんな金属にも使用できる訳ではありませんので注意が必要です!特にアルミむき出しの高価なパーツには、アルカリ性洗剤と相性が悪く、錆びる原因になる為、アルミ製のパーツにアルカリ性洗剤を使用しないよに注意しましょう。
中性洗剤も、洗い残しがあるとアルミにシミが出来る可能性があるので、なるべくなら避けたい洗剤です。
ハイターなどのアルカリ性洗剤を使う上での注意点は、パーツクリーナーよりも直接的な人体影響が顕著ですので、重い金属パーツをアルカリ性製剤の中に手が滑って落としてしまい、液体が目に入る事は容易に想像できますので、ゴーグル・ゴム手袋着用必須で作業を行いましょう。
脱脂目的なら家庭用のエタノールで代用可能!但し効果は弱い
上記の物の中で一番効果は弱いものの、ステッカー貼りでボディーがそれほど汚れておらず、最終的な脱脂を行いたいだけであれば、シリコンオフのようなクリーナーも不要で、エタノールだけで洗浄可能かもしれません。
パーツクリーナーやシリコンオフはそれなりに高価な製品なので、適材適所で極力出費を避けたいものです。
パーツクリーナー・シリコンオフ・エタノールに共通して言える事ですが、殆どのパーツクリーナーには可燃性の石油系有機溶剤と、液体を噴射するための可燃性ガスが使用されていますので、火器や電子機器のスパークには注意し、密閉空間での作業を避けて安全に配慮しましょう。
ハイターを使った酸性のヤニや油汚れの洗浄効果についてはこちらの記事でも解説しています。
ブログカードの画像でも判ると思いますが、ハイターを使ってヤニだらけの壁を洗浄すると、こんなにも壁の色が変わります。
パーツクリーナーでプラスチックは溶けるしゴムも劣化!割れる可能性まとめ
パーツクリーナーは汚れ落としに便利な洗浄剤ですが、その用途は主に油汚れに限られます。
また、油汚れを強力に落とすパーツクリーナーには、石油系溶剤が使用されており、アセトンやヘキサンが一般的で、この成分はプラスチックは溶けるし、ゴムも劣化する可能性が高いので、複合的なパーツに使用する場合は、分解して洗浄するか、分解できないなら丁寧な養生が必須です。
もし、ゴムやプラスチックパーツの劣化を極力避けたいのであれば、専用のクリーナーであるシリコンオフを使用するという方法もありますが、一般的なパーツクリーナーより洗浄力は劣ります。
パーツクリーナーの危険性や人体影響についても解説しました。
パーツクリーナーの主成分であるヘキサンは肌につくと、必要な油迄取ってしまい、かぶれや肌荒れの原因となる他、発がん性がある事も示唆されています。
パーツクリーナーの危険性は、可燃性の成分にもあり、石油系有機溶剤が可燃物である他、ヘキサンやアセントを噴射するために使用されるガスはLPGで、可燃ガスの為、パーツクリーナーを使用する場合の火器の使用は厳禁で、換気にも注意する必要がある事が分ります。
パーツクリーナーには速乾、中乾、遅乾タイプがありますが、個人的には液状タイプよりムースタイプが安全面でもおすすめです。
ムースタイプは吸い込む可能性が抑えられ、人体への影響も最小限に抑える事が出来、引火性も低く、液だれが少ないため、様々なシーンで強力にパーツを洗浄する用途に活躍します。
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