圧電スピーカーとスピーカーの使い方と音質の違いは歴然!

スピーカー単体 電気電子・情報工学
様々な形のスピーカーがあるがこれは細長い。通常のスピーカーは大抵が丸い

圧電スピーカー(圧電ブザー)と、スピーカーの音質や使い方の違いを知って工作に役立てましょう。

圧電素子を利用したものはセラミック媒体で、小型・省電力・低コストで大量生産可能ですが、音楽を聴いたり音質は期待できません。(あくまで簡易的な用途で100均等の低コスト製品向け)

コイルと磁石式のスピーカーは大型化出来、大電力を流す事が出来るので高音質で音楽を楽しむ事が出来ますがコストが高いです。

どちらもブザーの様な音を出すだけなら、ブロッキング発振回路を使えば簡単に音が出ます。

構造の違いは、圧電スピーカー(圧電ブザー)は内部にとても薄いセラミックと振動版で構成されており、圧電効果を利用して音を鳴らしますが、スピーカーは磁石とコイルの振動で音を鳴らします。

本記事では、圧電素子を使用した圧電スピーカーと、コイルと磁石で出来た普通のスピーカーの音質や構造の違いと使い方について、詳しく解説しています。

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圧電スピーカーとスピーカーの使い方と音質の違いは歴然のポイント

  • 圧電スピーカーと圧電ブザーは基本的な仕組みは全く同じ。両方とも圧電素子のセラミックを利用している。
  • 圧電スピーカー(圧電ブザー)とスピーカーの違いは圧電素子を利用しているかコイルと磁石を利用しているかの違い。
  • 音質はコイルと磁石を使ったスピーカーが断然有利で音楽向き。コストと比較すると圧電スピーカー(圧電ブザー)に軍配が上がるが、低音質であくまで簡易的な用途
  • 圧電ブザーと同じようなもので電子ブザーがあるがこれは内部に発振回路が内蔵されており、1.5Vの電池で動作する。圧電スピーカー(圧電ブザー)・またはスピーカーは直流の電池では動作しない。
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圧電スピーカーはスピーカーと比べ音楽向きの音質はどちらが有利?

始めに抑えておきたいのが、圧電スピーカーと圧電ブザーは仕組みは全く同じという事です。

若干の違いを挙げるとすると、圧電ブザーは下記のようなプラスチックの簡易的な外装ですが、スピーカーとなると音質をよくするためにエンクロージャー化されて音が前面から出るように、各使用機器の躯体で指向性を持たせています。

電子工作用の圧電ブザー
パッケージ化された圧電ブザー。基盤やボックスに固定できる
スピーカー単体
様々な形のスピーカーがあるがこれは細長い。通常のスピーカーは大抵が丸い

後ほど詳しく解説していますが、圧電スピーカー(圧電ブザー)は、一般的なスピーカーより小さく、様々な用途で使用されます。

圧電ブザーにはプラスとマイナスの端子がありますが、基本的に極性関係なくどちらを接続しても問題ありません。

さて、本題の圧電スピーカーとスピーカーの違いですが、上記で解説した通り、大きさは勿論の事、価格、音質、用途、仕組みが全く異なります。

簡単にまとめると、圧電スピーカーはおもちゃなどの簡易的なスピーカーとして、小型で安価な製品に利用され、大型のコイル式のスピーカーは、音量や音質を重視したいオーディオ機器に使われます。

スピーカーは値段もピンキリですが、安いものだと300円位で、高いものだと10万円くらいするものもあります。

これは、スピーカー単体での価格なのか、躯体に取り付けられてエンクロージャー化されているかによっても、かなり価格が左右されます。

圧電スピーカーは簡易的なおもちゃや100均の防犯ブザーで使われる

圧電スピーカーは構造が簡単で大量生産可能な為、おもちゃや安い100均の防犯ブザーとして使われています。

大型化可能で、大きな電流を流す事が出来るスピーカーと比べると大型化するのが難しいので、圧電スピーカーとして利用する場合は、簡易的な製品ととらえておくのが良いでしょう。

とにかくスピーカーと比べて製造コストが安いのが特徴です。

薄いセラミックで金属板を振動させているので、大型化には向かないのは前述したとおりです。

圧電ブザーの単体:表側
振動させた金属板を穴の開いた蓋をすることで集音性能を上げているようだ
圧電ブザーの単体:裏側
圧電ブザーの裏側。白い部分が圧電セラミック

かなりペラペラな素材で出来ており、ちょっと衝撃を与えたりすると直ぐにヒビがはいって音質に影響する事も。

ただ、直ぐに使えなくなるという事は稀で、割れても結構な確率で残った素子から音が出る事が多いが、音質は余計に悪くなる。

また、圧電スピーカーは大音量には向かず、音量を上げるとかなり歪んだ音がしてしまうし、普通のスピーカーの様に、エンクロージャー化しても重低音で音を出す事は難しい。

つまり、なる事は鳴るが、音の領域が普通のスピーカーと比べて狭いため、音としては出るが、臨場感や音の広がりなど音質の面で劣る。

これが圧電ブザーの正体です。

製造コストの安い100均の防犯ブザーにはこのような圧電素子と呼ばれる圧電ブザー(圧電スピーカー)が入っています。

圧電素子は他にも日常の様々な用途に使用されています。

その代表的なものが電子ライターです。

圧電素子は叩くと電圧を発生させますので、この圧電素子も叩けば電圧が発生しますし、ブザーやスピーカーの様に使いたければ逆に電圧を加えてやれば歪んで振動が音に変わります。

圧電スピーカー(圧電ブザー)はこの圧電効果を利用して音を出したり電圧を発生させたりしています。

スピーカーは大電力が必要だが音質重視で音楽向き

スピーカーは、圧電素子を使った圧電スピーカーに比べて大型化でき、大電流を流す事が出来るので大音量で音楽を聴く事が出来ます。

スピーカーを鳴らすには、アンプ(増幅器)が必要です。

例えば、iPhoneのイヤホン端子に直接スピーカーを繋げば鳴る事は鳴りますが、これが500W級の電力を消費できるようなウーファーやツイーターを繋いだ場合、性能を生かしきれません。

これは、iPhoneから出てくる信号が小さいのでそのままでは最大まで性能を生かす事が出来ない為です。

スピーカーで有名なメーカーと言えばやはりBOSEですね。

ボーズ | ヘッドホン、スピーカー、ウェアラブル
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様々なスピーカーを取り扱っておりますので、高音質なスピーカーに拘る方は参考にされるとよいでしょう。

最近だと面白い製品があり、iPhoneを特殊なボックスの中に入れてスピーカーから音を出すと、エンクロージャー化されたボックスからiPhoneでもクリアな音が楽しめるという製品です。

これは、アンプを使っているのではなく、箱の構造から音を上手く反射、反響させて増幅しています。

似ているがちょっと違うクリスタル(ロッシェル塩)

セラミックイヤホンのイメージ
クリスタルイヤホンも外観はこれとほぼ一緒

圧電スピーカー(圧電ブザー)と若干似た商品でクリスタル(ロッシェル塩)を利用した圧電素子もあります。

これは時代の遺物ですが、一昔前のゲルマニウムラジオで使用されていました。

同じ圧電効果が期待できる物質ですが、セラミックに比べてロッシェル塩は潮解性があるので、湿気に弱いです。

このセラミックイヤフォンの仕組みや、線が切れた時の対処法に関する記事も公開しているので、併せて読んでいただけると、より様々な圧電スピーカーやクリスタルイヤフォンの仕組みについて知る事が出来ます。

圧電スピーカーとスピーカーの回路の違い

圧電スピーカー・スピーカーも、同様の回路で鳴らす事が出来ますが、もう少し詳しく解説すると、圧電スピーカーは省電力向きで、スピーカーは大電力の回路を使用します。

電力に依存する回路の違いだけで、スピーカーの性能を無視して使えば圧電スピーカーの回路でスピーカーを鳴らす事は出来ます。

自作したブロッキング発振回路
ブロッキング発振回路を作れば圧電ブザーを鳴らす事が出来る

上記の写真は自作した圧電スピーカー(圧電ブザー)とスピーカーも鳴らす事が出来る簡単なブロッキング発振回路です。

川根本町ラボ | 電撃ラケット基本回路
ブロッキング発振回路

これは、電撃殺虫ラケットやポータブル蛍光灯の回路に使われるブロッキング発振回路の基本で、完全オリジナルな設計です。

トランスも自分で巻いて、実際に蛍光灯が点灯する事を確認しています。

写真と回路の部品が若干異なりますが、基本原理は全く同じです。

圧電ブザー(圧電スピーカー)とスピーカーを、ブザーの様に鳴らす回路の基本もブロッキング発振回路です。

上記の回路はトランスになっていますが、圧電スピーカー(圧電ブザー)とスピーカーを鳴らすには高電圧は必要ないので、トランスの代わりにトロイダルコイルを利用しており、トロイダルコアの中心のエナメルを削って中間タップとして利用する事で発振回路としています。

この回路は面白いもので、3Vの乾電池から昇圧した12Vを出力できるのでブザーを鳴らす事は勿論、12V用のPCファンやモーターを回したり、他にも12VのLEDを光らせる事が出来ます。

ブロッキング発振回路とは実に応用範囲が広い回路ですね。

この回路は、幅広い電圧や電流に対応する為、部品設計に余裕を持たせてかなり大型なヒートシンクや部品がついて居ますが、圧電ブザーを鳴らすだけなら、指の先ほどの小型な部品設計でも十分に慣らす事が出来ます。

圧電ブザー(スピーカー)の音量を上げ下げするのに必要な回路

少し専門的な話になってしまいますが、回路図の抵抗RとコンデンサーCやコイルの巻き数を変化させることで、音量や音調を調整する事が出来ます。

この他にも別途アンプを取り付けた側で制御する場合もあります。

小型の回路で自作する場合は、オーディオアンプのLM386等が良く使われますが、出力が高くても数mW程度で、大きなスピーカーは鳴らす事が出来ないので、海外では2SD688のトランジスターを数個連結したパワーアンプ用回路をよく見かけます。

2SD688は、私もブロッキング発振回路等で良く使っていますが、これだけ大きな電力が扱えるトランジスターですから、オーディオの増幅用途としても最適です。

一例として、D718とB688を二個使用した500Wのスピーカーも鳴らせるパワーアンプの制作動画を上げておきます。

同じような電子ブザーと圧電ブザーの違いは?

下の図をご覧ください。右と左で旧と新の電子ブザーです。

昔のレトロな電子ブザー
昔の1.5V電子ブザー。個人的には昔のパッケージの方が好きだが既に廃盤
新タイプの1.5V電子ブザー
電子ブザーは内部に発振回路を持っており、1.5Vで動作する

電子ブザーには大まかに分けて2種類の仕組みがあるのですが、これは内部に発振回路を持っておりコイルと磁石の力を利用して振動版を叩いて音を出す仕組みです。

もう一つも内部に発振回路を持っており、圧電素子が使われるタイプの電子ブザーです。

どちらにせよ、1.5Vの乾電池で動作する事に変わりありません。

前述しましたが、圧電ブザーや圧電スピーカーは内部に発振回路を持っていないので、そのまま電池を繋いでも、ブザーのような音でなる事はありません。

電子ブザーを使用した回路はこちらのお風呂ブザーでも使われていますので、具体的な用途が知りたい方はこちらの記事もご参考に!

電子ブザーをつかってお風呂の水位を知る回路を自作する

圧電スピーカーは100均で買えないが分解すると手に入る

圧電スピーカーは100均の防犯ブザーをはじめ、音の出るおもちゃなら大抵は格安で大量生産できる圧電スピーカーが入っています。

100均などのダイソーは電子部品店ではないので、個別や単体でこの圧電素子である圧電ブザー(圧電スピーカー)を購入する事は出来ません。

100均には、他にも電子工作に使える部品が沢山入ったおもちゃがあります。

実践していないですが、100均にある様々な電子機器を分解すれば、ブザーにリメイクする位は簡単に出来るはずです。

100均で販売されている音の出る電子機器には、大抵が圧電スピーカーですが、安いラジオ等ものによってはスピーカーが内蔵されているものもあります。

圧電スピーカーとスピーカーの使い方と音質の違いは歴然のまとめ

圧電スピーカーと圧電ブザーは、呼び方が違うだけで仕組みは全く同じで、圧電素子を利用した音を鳴らす部品です。

圧電素子は薄いセラミックが使われており、圧電効果を利用して音を鳴らして居ます。

圧電効果のある似たようなものでロッシェル塩がありますが、これは潮解性のある物質で湿気に弱いので、今では大量生産される低コストな圧電スピーカー(圧電ブザー)は全てセラミックです。

圧電効果で効果で音を鳴らすには、電圧をかけると素子が歪むのでそのひずみを連続的に起こす事で音に変換しています。

逆に叩けば圧電効果で電圧が発生します。(ひずみセンサーとしての用途も)

圧電素子を利用した圧電スピーカー(圧電ブザー)は小型省電力で、セラミックが大量生産できるので100均などの低コスト向けの製品に使われています。

ただし、大型化する事や大電流を流す事が出来ないですし、セラミックという柔軟性の無さが音質にも影響します、歪はおきますが歪の大きさには限度があり、この限度が音域に影響してしまう為音質には期待できません。

一方、スピーカーは磁石とコイルで構成されており大電流・大電力を扱え、大型化も出来、おまけにコーンが紙で出来ているので、音域の再現性も高いのが特徴です。

スピーカーや圧電ブザーをブザーのように鳴らすには、発振回路が別途必要で1.5Vの乾電池を繋げてもなりません。

圧電スピーカーは、紹介した動画のようなD718とD688のパワートランジスターを使い500Wを鳴らせるようなアンプを接続しても、音が歪むだけであまり意味がありません。

大きな音をクリアに慣らしたいならやはりコイルと磁石タイプのスピーカーが有利と言えます。

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