家庭の屋内や屋外で使用される屋内外配線用のケーブルにVVFケーブルというものがあります。
電気工事士の免許を持っている方や、住宅設備の配線に従事している工事業者の方ならおなじみの代表的なケーブルですね。
このVVFケーブルは主に屋内用で屋外で使用できないわけではありませんが、露出配線は基本NGで極端に寿命を縮める可能性があるのでPF管などで保護が必要です。
元工場勤務で機械や電気配線設備に従事していた筆者がVVFケーブルの屋外配線について解説します。
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VVFケーブル屋外配線工事の基礎!PF管保護OK。露出配線はNGポイント
- VVFケーブルは屋外配線できないわけではないが、露出配線は寿命が極端に低下するのでPF管や他の方法での保護が必要。
- 屋外で配線を使用するなら一般的にはCVケーブルで十分!電工ドラム(ドラムリール)でも使用される丈夫な屋外ケーブル。
- VVFは柔軟性はあるが、CVケーブルのようなヨリ線ではないので何度も曲げたり戻したりしているうちに内部で切れる可能性もある。
VVFケーブルの屋外配線工事はOK?露出配線はNGだがPF管で保護でOK
VVFケーブルは屋内・屋外で使用できるケーブルである事は冒頭でお伝えした通りですが、実際にどのようなケーブルでどんな配線パターンがあるのか見てみましょう。
こちらが家庭で良く使用される一般的なケーブルの種類です。
左から主に屋外で使用できるケーブルで電動工具などのケーブルにも使用されているのがCVケーブルです。
真ん中のケーブルが今回の記事で主に解説しているVVFケーブルで、上から見ると分かりにくいですが平たい形をしています。
補足ですが、屋内で使用できるケーブルは他にも延長コードのような細い線を何本も束ねて柔軟性を持たせたようなケーブルも存在します。
\延長コードのケーブルの構造や過負荷で焦げる原因について解説!/
右はアース専用のケーブルでアース線は緑色をしています。(線が一本だけなのはアース線だからで、このケーブルを地中に埋めたアース棒と接続して地中に電気を流して感電を防止します)
どれも屋内・屋外や家庭の電気配線で良く使用されるケーブルですので覚えておきましょう。
続いては屋内でVVFケーブルを使った露出配線の事例です。
VVFケーブルは内部が太い銅線なので、細いヨリ線のCVケーブルよりはたるみが少ないですが、それでも長ければたるみますので、要所要所でステップルという材料を使って固定します。(ステップルは平たいVVFケーブルを固定するためのコの字型の釘です)
こちらは何度か出てきている普段筆者が使用している作業机の屋内VVFケーブル電気配線の事例です。
工場でもよくこんな感じの配線をしていますので、私も参考にして真似してます。
各コンセントを分岐して並列接続する時にどうしてもVVFケーブルの配線が必要になります。
この場合、配線の接続が多いので差し込み型コネクタを使用し、コネクタ回りをVVFジョイントボックスで保護しています。
ケーブルは工場でおなじみの固定方法であるインシュロックを使用しています。(本来VVFケーブルの固定はステップルを使用しますが、イレクターパイプや単管パイプにステップルの打ち込みは出来ないのでインシュロックを使用します)
いつでもやめれるでんき
こちらの画像は左側のケーブルがCVケーブルで右側がVVFケーブルとなっており、配線同士の接続は絶縁被膜付閉端子を使用してカシメ工具で圧着しています。
何故、CVケーブルとVVFケーブルが混在しているのかというと、VVFケーブルは固いのでコンセントプラグで使用すると非常に使い勝手が悪いです。(柔軟性に乏しいため)
そこでコンセントには柔軟性の高いCVケーブルを使用して配線し、配線を固定する必要のある部分にはVVFケーブルを使用している為このような配線になるという理由です。
何度か他の記事にもで出来ていますが、VVFケーブルとCVケーブルの接続には絶縁被膜付閉端子を使用しています。
この絶縁被膜付閉端子は専用の圧着工具が必要ですので、別途購入する必要があります。
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VVFケーブルの屋外配線で良くない事例を紹介!NGな配線例
屋外でこの配線は完全にNGですが、直すのが面倒なので放置しています(笑)見た目も美しくないですが、屋外配線にも関わらず接続部分の防水処理がされておらず、養生テープで止めるという最悪な施工をしています。
上記のような配線を工場や客先で行えば事故やクレームの原因になるのでやってはいけませんし、そもそも上司に注意されることは言うまでもありません。
止めている部分が木材だから今まで感電せずに済んでいますが、これが角波トタンやガルバ波板なら確実に感電している所ですw
やってはいけない適当な悪い配線例の紹介でした((+_+))
グリーンエネルギーナビ
写真を撮り忘れえてしまったのですが、VVFケーブルを屋外で使用する時は基本的にPF管を使用すると劣化も少ないですし、安全に利用できます。(実際私も屋外でVVFケーブルを使用していますが、結構被覆の粉がぽろぽろ落ちる程度に数年で劣化します)
CVケーブルは屋外で使用OK!電工ドラムでも使用される丈夫なケーブル
VVFケーブルが屋外で使用するには保護剤が必要なのに対し、CVケーブルは保護剤が必要ない屋外で使用できる一般的なケーブルです。
丈夫で柔軟性も高いため主に電気工具の電源周りの配線に使用されています。
CVケーブルは外の被覆の中に閉じ込められた線の数によってCV-3C,CV-4C,CV-2Cなどがあります。
電気工事とスイッチは切っても切り離せない関係です!スイッチにトグルスイッチを利用した配線方法を紹介します。
ハルエネでんき
屋外用電線ケーブルはどんな種類がある?
ここでVVFケーブルとCVケーブルを含むケーブルの種類についてどのようなものがあるのかまとめます。
屋外用電線ケーブルは、屋外での使用に適した耐候性・耐熱性・耐水性を備えた電線ケーブルです。種類は様々で、それぞれ用途や特性が異なります。
1. 種類
- VVFケーブル:ビニル絶縁ビニルシースケーブル。最も一般的な屋外用ケーブルで、一般家庭の屋内配線や屋外配線に使用されます。
- CVケーブル:架橋ポリエチレン絶縁ビニルシースケーブル。VVFケーブルよりも耐熱性に優れ、高圧配線や動力配線に使用されます。
- CVTケーブル:架橋ポリエチレン絶縁ビニルシース耐熱ケーブル。CVケーブルにさらに耐熱性を高めたケーブルで、高温環境で使用されます。
- VCTケーブル:ビニルキャブタイヤケーブル。柔軟性に優れ、移動機器や振動のある場所で使用されます。
- Sケーブル:ゴム絶縁ビニルシースケーブル。耐油性・耐熱性に優れ、油田や工場など過酷な環境で使用されます。
- Wケーブル:耐火ケーブル。火災発生時に一定時間電気を通すことができ、非常用設備などに使用されます。
2. 用途
- 電灯線:電灯やコンセントなどの一般家庭用電源に使用されます。VVFケーブルやCVケーブルが一般的です。
- 動力線:モーターやエアコンなどの動力機器に使用されます。CVケーブルやCVTケーブルが一般的です。
- 制御線:工場設備や制御機器に使用されます。CVVケーブルやCPEVケーブルが一般的です。
- 通信線:電話やLANケーブルなど通信機器に使用されます。通信用のケーブルが使用されます。
- その他:上記以外にも、様々な用途で使用されます。
3. 選定ポイント
- 用途:どのような用途に使用するかによって、必要な性能が異なります。
- 使用環境:屋外でも、高温・高湿・油など過酷な環境で使用される場合は、それに対応したケーブルを選ぶ必要があります。
- 許容電流:ケーブルには許容電流があります。使用する機器の消費電流を確認する必要があります。
- 長さ:必要な長さのケーブルを選びましょう。
- 価格:ケーブルの種類や性能によって価格が異なります。
4. 注意点
- ケーブルの種類によって、使用できる場所や用途が異なります。
- ケーブルの許容電流を超えて使用すると、発熱や火災の原因になることがあります。
- ケーブルは、傷や破損がないものを選びましょう。
- ケーブルの接続は、電気工事士の資格を持った人が行う必要があります。
5. まとめ
屋外用電線ケーブルには様々な種類があり、それぞれ用途や特性が異なります。使用目的や環境に合わせて適切なケーブルを選ぶことが重要です。
参考資料
- ケーブルの種類と用途: https://www.monotaro.com/note/productinfo/electrical_wire/
- 屋外用ケーブルの種類と選び方
- 電線・ケーブルの種類と用途
照明器具を自分で配線してみたい場合は以下の記事が参考になります。
VVFケーブル屋外配線工事の基礎!PF管保護OK。露出配線はNGまとめ
最後にVVFケーブルやCVケーブルについてのまとめを書いて終わります。
VVFケーブルは、屋外・屋内共に使用される配線ですが露出配線は紫外線や外的要因でケーブルが劣化しやすいので、PF館などの保護剤を使用して屋外で使用します。
屋内で使用する場合は参考画像の様にステップルやインシュロックを使用して固定するのが一般的です。
CVケーブルはVVFケーブルに比べて柔軟性が高いケーブルなので、電工ドラム(工場で使用される無いドラム式の延長コード)や電気機器のコンセント周りの配線に使用されます。
CVケーブルは被覆内の配線の数によってCV-2,CV-3,CV-4等があります。
また、VVFケーブルはCVケーブルより柔軟性に乏しいこともあり、コンセント周りにはCVケーブルが使用されますが、これら異なるヨリ線と銅線の接続は差し込み型コネクタで配線できないので、絶縁被膜付閉端子を使用してカシメ工具をした圧着接続が一般的です。
VVFケーブルでやってはいけない配線は、野外で保護管もステップルも使用せず、ぐちゃぐちゃなまま宙ぶらりんで配線し、接続も端子台などを使用して配線すると感電の原因になりますので注意が必要です。
VVFケーブルの解説や容量のまとめは矢崎計器が最も分かりやすいです。
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